音楽シーンは、リスナーが集まる場所である“音楽コミュニティ”とともに成長してきました。これまでも〈新宿LOFT〉などライブハウスはもちろん、テレビ、ラジオ、雑誌などのメディア、音楽の新しい楽しみ方を提案したカラオケやDJカルチャー、バンドブームから派生した原宿の『歩行者天国』がライブスペース化するなど、時代に応じて様々な“コミュニティ”が誕生し、音楽ファンが集いムーヴメントが生まれてきました。
2012年のいま、どこの“音楽コミュニティ”が盛り上がっているかといえば、それはインターネット上の『ニコニコ動画』であることは間違いないでしょう。AKB48以外のCDが売れづらいと言われている、CD不況な昨今ではありますが、『ニコニコ動画』では、プロもアマチュアも同じ条件のもと、動画投稿が活性化し、再生回数で競い合い、新たなスターが日々誕生し続けているのです。
『ニコニコ動画』が人気な理由のひとつに、視聴者もクリエイターも、誰もが参加できる優れたシステム設計があげられます。いわゆるAKB48の人気に火をつけた企画『シングル選抜総選挙』と、『ニコニコ動画』での再生回数をランキングとして競い合うシステムは、ルール設定として近いと思います。そんなITバズワードでもある“ゲーミフィケーション”を取り入れた闘いにおいて切磋琢磨し、成長し続けているのが今のボカロPであり、歌い手など、新世代のクリエイター&ユーザーなのだと思います。
初音ミクをヴォーカリストとして起用してメジャーシーンへ進出したボカロP界のスターである、supercellのryoや、GoogleのCMでもお馴染みのlivetuneのkz。彼らの曲から派生した歌い手や、絵師、踊ってみたで人気となったダンサーなど、新たに再定義されたクリエイターがインターネット上から、続々と誕生している2012年。そんななか、『ニコニコ動画』シーンにおいて絶大な人気を誇る歌い手であるGeroに、なぜ『ニコニコ動画』がすごいのか? どうやって人気を集めることとなったのか? を聞いてみました。そもそも、Geroといえば、自身が関連する動画の再生数が2,000万回を越え、Twitterのフォロワー数130,000人以上という『ニコ動』キーマンのひとり。そこで、Geroが参加するという大注目の全国ツアー『G.W.ニコライZEPP TOUR 2012』の秘密もたっぷりと伺ってきました。