近ごろ、若いころはダメな学生だったり、ヤンキーだったりしたけれど、成功して優秀な大学に入り成功した、という書籍が話題になっている。
そのどれもが「高収入の父親」だったり「子どもに無償の愛を注ぎ、徹底的に教育をしてくれる母親」だったり、そこまで恵まれていなくても、「塾や予備校に通える余裕はある家庭」で育った子供たちの話である。
しかし今、新聞を騒がせている貧困問題があるように、決してどの家庭も恵まれていて、成功するためのきっかけを手にするチャンスがあるわけではないのも現実だ。
早稲田卒……その後“転落人生”を送った男の顛末
円山嚆矢という男がいる。
幼いころから母親に「お前は好きで生まれた子どもじゃない」と罵られ、父親も酒と女に溺れ、金を無心する毎日。親が踏み倒した借金を子どもである円山が頭を下げて謝り、とうとう暮らしに困り夜逃げまでするように。
絵にかいたようなブラック家庭で育った彼は、なんとかこのひどい生活から抜け出そうと、スポーツ推薦で入った三流高校から、予備校に通わず自らの力だけで大学入学を目指す。
日々の暮らしの支えのためにバイトをしながら、購入した参考書片手に寝食も忘れ勉強をする日々。
そして彼は自らの力で早稲田大学入学のチケットを手にしたのだった。
辛い毎日ばかりを送った家庭から出て、自由を謳歌する日々。しかし、もともとお金に困る生活を送っていた彼は早稲田に入学するや否やアルバイトに精を出すことになる。
奨学金のため、それなりの成績は残すものの、昼夜問わず金を求めて働き、1か月で気が付けば就職も金に目がくらみ会社を決めていた…。
そして彼が堕ちて行ったのは、夜の風俗街。
風俗、AV、クスリ、恐喝、ヤクザ…映画の中のシーンが繰り返されるような裏社会の生活。気が付けば自らもクスリに染まっていた。
クスリに染まり、オンナと遊び、金を追い求める…。
「自分が欲しかった生活はこれだったのだろうか? 死ぬ気で勉強して早稲田まで入ってほしかったのはこれだったのか」