赤塚不二夫さんの代表作のひとつ『おそ松くん』。この秋には、生誕80周年を記念して同作3度目のアニメ『おそ松さん』が始まり、オタク女子を中心に盛り上がりをみせています。
設定は、彼ら六つ子が大人になったというもの。『銀魂』の藤田陽一さんが監督をつとめ、キャラクターデザインを『劇場版ドラえもん』総作画監督の浅野直之さんが担当したことも、彼女たちをザワつかせた理由のひとつでしょう。
また、池袋・ナンジャタウンでは、コラボイベント『おそ松さんinナンジャタウン』が12月4日から開催されています。イベント開始時には、深夜待機組がいるのでは ないかと物議を醸すなどの混乱も(通常こういったアニメイベントでは深夜待機はNGとされています)。連日多くのファンが殺到していることからも、幅広い層からこの『おそ松さん』が注目されていることがうかがえます。
何かと物議を醸すのも、国民的マンガ『おそ松くん』だからこそ。そこで今回は、その歴史にふれてみたいと思います。
担当編集にとんでもないイタズラを…!?
1962年にはじまった元祖『おそ松くん』。実は同作は、『少年サンデー』から、「4回連載で何か書いてみないか」という提案からはじまりました。当初はあまり期待されていなかったようですね。
ただ、赤塚さんはそんな時こそ、その当時主流だったまったりとしたギャグ漫画ではなく、テンポの早いものを狙ったとのこと(書籍『赤塚不二夫80年ぴあ』より)。
また、登場人物の構成も異常なものが良いと思い六つ子を採用。確かに後にも先にも六つ子をテーマにした作品はありません。最初に赤塚さんが考えたのは12人だったようですが、さすがに12人は雑誌の枠のなかで描き切れないということで断念したようです(いや、それは正解だった気がしますよ、先生)。
外見では見分けのつきにくい六つ子は小学校5年生の設定で、イタズラ好きで大暴れする彼らと、それを愛情深く見守るお母さんとのやりとりが魅力の同作。ただ、イタズラ好きは赤塚さんそのものだったらしく、ある大食いの担当記者に行ったイタズラ行為はなかなか派手なものでした。
ポスターカラーのホワイトを牛乳瓶にきれいに入れ、蓋をして冷蔵庫に入れて担当記者を待っていた赤塚さん。朝早くにやってきたその記者に対して、冷たい牛乳だといって飲ませたようです。
なんとも限度をこえたイタズラ。飲ませる方も飲ませる方ですが、飲む方も常軌を逸しており、担当記者は何も気付かずにぐいっと飲み干してしまったそうです(ちょっとその当時の方々のずぶとさに現代人はついて行けません……笑)。
そんな遊び心を抱いた赤塚さんによる同作は、4回連載で描いたにも関わらず大ヒット。アニメ化・商品化で国民的漫画に。また、同作には六つ子以外にも、デカパン、ハタ妨、ダヨーンなど奇抜なキャラクターが登場し、主人公の舞台を奪いかねないほどの個性を発揮しました。