そうした映画的な演出へのこだわりは、ゲームシステム面にも活かされています。映画『マトリックス』などで、飛んでくる銃弾のスピードが遅く見える演出が採用されていたことは有名ですが、あれが本作にも取り入れられています。

攻撃アイコンの左にあるアイコンを押すと、「バレットタイム」に突入し、一定時間敵の動きがスローモーションになります。さらにキャラ移動をしながらバレットタイムを使うことで、キャラ移動が飛び退きモーションに変化! これにより、映画などでよくある“横に飛び退いて敵の銃弾をかわしつつかっこよく銃撃する”みたいなアクションを繰り出すことができるのです。

もちろん「バレットタイム」は攻略の上でも非常に重要な技であり、けっして映画的に見せるためだけに導入されたシステムではありません。

最近は「グラフィックや演出は良いんだけどゲームとしては……」みたいに酷評されるゲームがたくさんありますが、本作は“映画的な演出がゲームシステムの面でもきちんと意味を持っている”好例だといえます。

 

ちなみにストーリー部分には、こういった日本語での台詞や文章が表示され、それ以外の部分にもちゃんと日本語の音声が入っています。海外のゲームには日本語がおかしい作品が多数あるのですが、本作に関してはその点も完璧です。

以上、とにかくあらゆる点において完成度の高い『マックス・ペイン モバイル』。思い出補正なしで見てもかなり面白いのでオススメです。

やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ