漫画はコミックス12巻、外伝2巻と400万部を超えるヒットになりました。こうなるとメディアミックス化は必至で、『未来日記』もアニメにゲームにドラマにと展開しています。4月21日からフジテレビ系列で放送されているのが『未来日記-ANOTHER:WORLD-』です。ANOTHER:WORLDとされているように、漫画の未来日記の設定のみを活かして、オリジナルストーリーで展開されていきます。
岡田将生演じる星野新太は大学3年生。未来日記と名付けられたアプリをスマートフォンでダウンロードしたことから、未来が分かるようになり、剛力彩芽の演じる古崎由乃らと共に争いに巻き込まれていきます。人気漫画の実写ドラマ化は、これまでに何度も行われてきましたが、中には『これはひどい』と思わされるものがいくつもありました。その意味では、設定のみを活かしてドラマ化することは、一つの方法として悪くないと思います。漫画ファンも別の作品として見ることができますし、仮に出来が悪くても漫画まで失望することはないからです。
21日の1話は視聴率9.9%。『これではちょっと……』と思うかもしれませんが、23時台の放送時間を考慮すれば、十分な結果と言えるのではないでしょうか。私が見た感想では、若干演出過剰と感じる部分もありましたが、ほぼ満足できる仕上がりになっていました。導入部の1話としては十分なもので、今後の展開が楽しみです。ただコミックス12巻まで続いた漫画のように、1クールの放送で○巡目の世界まで描ききれるとは思えないので、結末をどうするかがドラマ制作者の腕の見せ所ではないでしょうか。この時間帯のドラマ枠は新設されたものなので、ぜひ第2弾、第3弾と漫画原作のドラマが続いて欲しいと思います。
またメディアミックスの一環で作成されたのが『未来日記モザイク消し』(原作:えすのサカエ、作画:竹内元紀)です。
掲載誌は角川書店の「4コマnanoエース」で、誌名通り4コマ漫画のスピンオフです。『おかしな題名だなぁ』と思われるかもしれませんが、一応、外伝の『未来日記モザイク』にかかっています。それで原作者がえすのさかえ氏であれば、一安心と思いたいところなのですが、思いっきりシモネタに走っています。主人公の天野雪輝は煩悩丸出しの中学2年生。ヒロインの我妻由乃もH方面に走りっぱなしです。例えば「未来日記」で当たりのエロDVDを知った雪輝は、躊躇せず借りに行きます。もちろん中学2年生なので断られるのですが、ではなぜ当たりのエロDVDを雪輝が知ったかと言えば、……コミックスをご覧ください。
発行時のアピール文句が“誕生!メディアミックス4コマ誌!!”とあるように、「4コマnanoエース」誌そのものが、『日常』『涼宮ハルヒの憂鬱』『デッドマン・ワンダーランド』などのスピンオフ作品を多く掲載しています。その中でも本作から外れ切ったスピンオフ作品としては、『未来日記モザイク消し』がトップを独走しているのではないでしょうか。そのまま読んでも楽しめますし、本作を読んでいれば、更に楽しめる設定が満載されています。人気漫画の4コマアンソロジーは、他にも数多く発売されていますが、最近は本作の作者が関わっていることで、一段と深い出来ばえのものが増えています。その中でもお勧めであることには間違いありません。
「4コマnanoエース」と「月刊少年エース」で掲載された後に、コミックス全1巻で発売されています。ぜひ続きを読みたいと思うのですが、ここまでのスピンオフだと構想が難しいのでしょうか。ひと息ついたところで、えすのサカエ氏には再開を希望します。もちろん「エロい意味で」です。