現在開催中の「ディズニー・オン・クラシック 〜春の音楽祭 2016」。こちらは、数々のディズニーの名曲を、フルオーケストラの演奏とブロードウェイで活躍するボーカリストの歌声で贈るコンサートです。

『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』をはじめ、『ピノキオ』『ヘラクレス』など、ディズニー・ピクサー作品などから名曲を選出した豪華なラインナップ。自分のお気に入りの曲が、一流の演奏者とボーカリストによって奏でられるなんて、ディズニー好きにはたまらないイベントだと言えるでしょう。

そんなディズニーの音楽ですが、実は知られざるこだわりがあるというのです。今回は、そんな両者の関係についてせまってみたいと思います。

私たちの日常生活の中でも、“音楽”はとても存在感のあるものです。皆さんは、昔どこかで聞いた音楽が少し流れただけで記憶がよみがえった経験はありませんでしょうか。音楽の体験は、私たちの記憶にしっかりと刻まれているものなのです。

ディズニーのテーマパークを訪れたゲストは、豊かな色彩と人気キャラクターに圧倒される。しかし、ゲストの感情にもっとも強く働きかけるのは音楽だ

出典(『なぜ、あの「音」を聞くと買いたくなるのか―サウンド・マーケティング戦略』)

こう語るのは、テレビプロデューサーであり、書籍『なぜ、あの「音」を聞くと買いたくなるのか―サウンド・マーケティング戦略』の著者であるジョエル・ベッカーマン氏。ディズニーやヴァージン、メルセデス、AT&T、サウスウエスト航空、コカ-コーラなどの「サウンド・マーケティング戦略」をコンサルティングした世界的第一人者です。

ディズニーのテーマパークを訪れると、多くの色彩に囲まれた空間や賑やかなキャラクターにテンションがあがり、つい写真を撮ることに必死になってしまいますよね。しかし、私たちがこの空間に没頭してしまうのも、音楽あってこそなのです。

よく考えてみると、パーク内は多くの音が流れていますよね。駐車場に着いた時からそれは始まっており、エントランスゲートをくぐる頃には、音楽がゲストの潜在的な意識に働きかけています。気付けば非日常の世界にどっぷり。

例えば、「イッツ・スモールワールド」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」の曲が聞こえてくると、次にどんなアトラクションが待っているか、ゲストはそれを知ることができますよね。体にすり込まれた経験から、曲を聞くことによって、ゲストがこれから楽しむ体験を予感するのです。音楽が聞こえてくると、テンションが上がって声を出して喜んでしまう人もいるでしょう。

また、音楽は視覚よりも速く情報をゲストに伝えるので、広い園内で自身がいまどこにいるのかを教えます。夢の国に引き込み、その世界に没頭させるには音楽の存在は大きいと言えますね。