東京国際映画祭記者会見が3日、東京都内の日本外国特派員協会で行われ、今回のオープニング作品『男はつらいよ お帰り 寅さん』の山田洋次監督ほかが出席した。
『男はつらいよ』シリーズ50作目となる本作は、おいの満男(吉岡秀隆)ら、くるまやの面々の今を描く映像と、4Kデジタルでよみがえった寅さんの映像を組み合わせ、新たな物語として描く。
山田監督は「今回は、一体どんな映画になるかという期待と不安があったが、完成後、この映画を作るために50年の歳月が必要だったんだと思った。長生きしたからこういう映画ができた。もし、渥美清さんがこの映画を見たら、きっと『俺、びっくりしたよ』と言うでしょうね」としみじみ語った。
また「寅さんの妹のさくら役の倍賞千恵子さんをはじめ、みんな年を取ったけど、不思議なことに寅さんだけは年を取らない。そういう意味では、みんなにとっての寅さんは、マリリン・モンローやチャールズ・チャップリンみたいなものかもしれない」と語った。
「マドンナ役の女優を選ぶ基準はあったのか」と問われると、「寅さんが恋をする女優はどんな人がいいだろうか、とは考えたけれど、基本的に寅さんはどんな女性とも恋ができるから選択肢がたくさんあった。だからとても楽しい仕事だった」と答えて笑わせた。
「現在88歳だが、次回作は?」との質問に、「自分の年を考えると怖いし、映画を撮っている場合か、とも思うけど、アメリカではクリント・イーストウッドもまだ撮っているから、僕も頑張ろうという気持ちになる。ポルトガルには100歳を超えて映画を撮ったマノエル・ド・オリベイラという監督がいたし、日本にも新藤兼人監督がいた。だから僕も100歳までは撮れるかなとも思う」と答えた山田監督に、会場から「監督も寅さんと一緒で年を取らない」の声が飛び、拍手が起きた。