映画『怒り』の完成報告会見が11日、東京都内で行われ、出演者の渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、佐久本宝、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子、宮崎あおい、妻夫木聡、李相日監督ほかが出席した。
これまでも李監督作品に出演してきた妻夫木は「一番うれしかったことは、李監督が『今回は妻夫木に任せるから』と預けてくれたこと。作品が出来上がった後には『助けられた』とおっしゃってくれた言葉もうれしかった」と語った。
今回は“カップル”を演じた妻夫木と綾野は初共演。撮影期間中には実際に二人暮らしをするなど入念な役作りを行ったという。
妻夫木は「新宿二丁目に通ったり、友人とパーティーを開いてみたりと、役作りでこんなにお金を使ったことはないというぐらい使った」と苦笑し、「こんなにも一つの作品に向かう姿勢や気持ちが同じでいられた人は初めて。剛も同じように僕のことを思ってくれていると思うけど、お芝居をするというより(撮影期間の)2週間半、その中で生きるだけで良かった」と語り、築いた関係の深さをうかがわせた。
綾野も「素直にうれしいです。すべてがいとおしい時間でしたし、妻夫木さんがテレビやCMに出ていると手を振ったりしていました。すみません。いちゃいちゃするのはやめます」と笑いを誘い、二人と同じパートに出演した高畑は「お芝居以外のところでお互いのことを話しているときの顔がすごくすてきで、お互いのことがすごく好きなんだなと思いました」 としみじみ語った。
オーディションで役を勝ち取った広瀬は、映画界でも厳しいと評判の李監督の粘り強い演出について「監督がご飯を食べている姿を見て、『監督も人間だ。人間だ』と思いながらやりました」と撮影時の感情を明かして笑わせ、リハーサルからテークを重ねたシーンでは「本当に分からなくなって、分からないことが分からない。できないことは分かっているから余計に悔しかった」と振り返った。
渡辺も「戦うというより、どう生き延びるか、一日一日を耐え忍ぶところもあって。でも最終的には出来上がると、悔しいけどいいよなと思ってしまうのが悔しい」と李監督の演出について語った。
映画は9月17日から全国東宝系でロードショー。