女優のんがアニメーション映画『この世界の片隅に』(片渕須直監督)で、主人公すず役の声を演じることが発表され、予告映像が公開になった。のんは「すごく本当に、とんでもなく嬉しくて、なんか地面からふわっと浮いちゃいそうなくらい嬉しかったです!」とコメントを寄せた。
本作は、こうの史代の同名漫画が原作。昭和19年から20年の広島を舞台に、呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずが、戦況が悪化し、あらゆるものが欠乏していく中でも前を向き、日々を大切に生きようとする姿を描く。監督は『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督。
片渕監督は起用の理由について「6年前『この世界の片隅に』をアニメーションにしようと思ってからずっと、すずさんの声を探していました」といい、「ご縁に恵まれて、のんさんの声をマイクを通して聞いた時、何年も前から自分たちが想像してきた声が、すずさんとなって現れました。その時、のんさん以外のすずさんは考えられないと確信しました」と明かす。
のんは原作について「私は戦争や暴力の描写が嫌いで苦手で、目を向けないで拒んでいたところがありました。(戦争は)非日常なもので別次元のものと思っていたのですが、原作を読ませていただいて、日常と隣り合わせに戦争があったのかもしれないなと感じて、今まで拒んできたものに目を向けてみようと思いました」と話し、アフレコは「最初はすごく難しくて、どうしたらいいんだと悩んだんですけど、やっていくうちに絵に息を吹き込むというのが楽しくて。あぁ、声優さんはこういうことをされてたのかと思うと興奮しました」と振り返った。
自身が演じる、すずについては「感情が沸きたった時に、がーって絵を描いているところがすごく共感しました。すずさんは、ぼーっとしていると言われながらも、パワフルでポジティブなところが好きです。劇中ですずさんがやっているような着物のリメイクにも挑戦してみたいです」とコメント。
観客に向けて「普通に生活しているとか、ただ生きているっていうことが、あぁやっぱり普通っていいな、と思える映画だと思うので、そういうのを感じていただきたいなと思います。そして、是非ご家族を誘って観ていただきたい。大切な感覚を一緒に共有出来ると思うのです」とメッセージを送った。
このほど公開になった予告映像では、シンガー・ソング・ライターのコトリンゴが新たにカバーした『悲しくてやりきれない』が使用されており、今週末から一部の劇場で、のんの特別メッセージ付き予告編映像が上映される。
『この世界の片隅に』
11月12日(土)テアトル新宿、ユーロスペースほか全国ロードショー