第29回東京国際映画祭(10月25日~11月3日開催)のラインナップ発表記者会見が9月26日、都内で行われた。就任4年目を迎えた同映画祭のディレクター・ジェネラル、椎名保氏は「作品重視の映画祭」をコンセプトに、「国内外へ向けた映画の情報発信基地」「クリエイターに陽を当て、世界へ羽ばたくステージを作る」「未来の映像作家・映画ファンの創出」「誰もが参加したくなる映画祭」という4つの軸を掲げた映画祭運営を説明した。
会見にはコンペティション部門に出品される『アズミハルコは行方不明』に主演する蒼井優と松居大悟監督、同部門出品の『雪女』に主演する青木崇高、アニメーション特集『映画監督 細田守の世界』より細田守監督が出席した。
東京国際映画祭には初参加となる蒼井は、「主人公なのに、行方不明。これはラクかもしれないと思ったんですが、意外と出番が多くて(笑)、やはり甘いものじゃないね」と笑いを誘い、松居監督は「同世代の蒼井さんと、今までにない日本映画が作れればと思った。(コンペに選出されて)うれしくて泣いてしまった」と感激しきりだった。
また、細田監督は「こうした特集上映は初めてのことで、とても光栄」と語り、「ずっとアニメ映画にこだわり、何を描けるのか考え続けてきた。まだ描けていない何かが描けるんじゃないか、という大きな可能性を何とか到達しようとやってきたし、今後もそのつもり」と長年のキャリアに思いをはせていた。
コンペティション部門国際審査委員を務めるのは、審査委員長のジャン=ジャック・ベネックス(映画監督/脚本家/プロデューサー)をはじめ、平山秀幸(映画監督)、ヴァレリオ・マスタンドレア(俳優)、ニコール・ロックリン(プロデューサー)、メイベル・チャン(映画監督)。女優の黒木華が映画祭の顔である“フェスティバル・ミューズ”に起用された。
第29回東京国際映画祭は10月25日から六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区)ほか都内の各劇場および施設・ホールで開催。メリル・ストリープ、ヒュー・グラントが共演する『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』がオープニングを飾り、松山ケンイチが実在の天才棋士を演じる『聖の青春』がクロージング作品として上映される。
『第29回東京国際映画祭』
10月25日(火)からまで11月3日(木)までTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて開催
取材・文・写真:内田 涼