ディズニー社が『スター・ウォーズ』シリーズの創作者ジョージ・ルーカスから製作会社を買収し、新たなるサーガの始まりとした『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)から『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(17)を経て製作された、シリーズ完結編『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が12月20日から全国公開される。
シリーズ第1作の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)から42年。遙かかなたの銀河系で繰り広げられた邪悪な力と抵抗軍との戦い、そしてスカイウォーカー家の愛と喪失の年代記がついに完結する。
『~/フォースの覚醒』のJ.J.エイブラムス監督に代わって『~/最後のジェダイ』で監督、脚本を担当したライアン・ジョンソンは「全ての『スター・ウォーズ』シリーズの根本は、子どもが思春期を経て大人になっていく過程で、自分の内面にある力に気付き、それをどう使うのか、誰を信頼するのか、新たな世界の中で自分の居場所をどう見付けていくのか、という地図のような物語だ」と語っていた。確かにシリーズに共通するテーマは“苦悩と成長”だ。
その言葉通り、エイブラムスが監督に復帰した本作では、主人公のレイ(デイジー・リドリー)、フォースの暗黒面の担い手カイロ・レン(アダム・ドライバー)、レジスタンスのパイロットのポー(オスカー・アイザック)、迷える兵士フィン(ジョン・ボイエガ)たちが自分たちの居場所を見つけていく様子が描かれ、レイの出生の秘密をはじめ、さまざまな謎の答えが示される。もちろんこれが本作の見どころの一つとなる。
また、この新3部作の主役は、レイを中心にした新メンバーには違いないのだが、『~/フォースの覚醒』の“裏主役”がハン・ソロ(ハリソン・フォード)、同じく『~/最後のジェダイ』の裏主役がルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)だったことから、3作目ではレイア姫(キャリー・フィッシャー)が裏主役となり、それぞれが『スター・ウォーズ』に決着を着けていくのでは…と思われた。ところが、『~/最後のジェダイ』の撮影後にフィッシャーが急逝。彼女の死によって、第3部の展開はどうなるのか、という課題が残った。
この点について、エイブラムス監督は来日会見で「レイア姫なしにスカイウォーカー家の物語を終わらせることはできないと思った。でも、新しいキャストを使うことや、デジタル処理はしたくなかったので、撮りためたフッテージ(素材映像)を使って、新たに彼女のシーンを作った」と明かした。
エイブラムス監督のこだわりや思い入れは十分理解できるが、実際に見てみると、正直なところ、本物の俳優とフッテージとの絡みに違和感があるのは否めなかった。ただ、やはりレイア姫不在の完結はあり得ない。そう考えれば、これは映像技術の発達がもたらした贈り物だと言えるのかもしれない。
さて、同じく来日会見でリドリーは「『スター・ウォーズ』の魅力や美しさは、血のつながった家族の物語でありながら、自分が誰かを選び、家族や友を作っていくという物語でもあるところ。レイにとって、初めて出会った友人がフィンであったように、愛や友情でつながっていく関係が、人間にとってどのぐらい大きなものであるのかを知ることが大切なのだと思う」と語っていたが、本作を見終わると、改めて彼女の言葉に納得させられるものがあった。
この新3部作に創作者であるルーカスの考えがどの程度反映されていたのかは分からないが、エイブラムスやジョンソンといったルーカスの息子世代が、彼らなりの解釈で、ルーカスの後を継いで壮大な夢物語を完結させたのは紛れもない事実だ。もちろん、決着のつけ方に賛否はあるだろうが、ひとまず彼らの努力と挑戦に拍手を送りたいと思う。(田中雄二)