「グランメゾン東京」(C)TBS
俳優なら絶対に避けて通れないもの。それは「せりふ覚え」。せりふが頭にしっかり入っていなければ、演技も芝居も始まらない。今回は、そんな俳優たち独自の「せりふの覚え方」を見ていきたい。
「グランメゾン東京」の面々は…
現在放送中の日曜劇場「グランメゾン東京」(TBS系・日曜夜9時)で、フランス料理のシェフ尾花夏樹を演じている木村拓哉。10月の制作報告会見で、「せりふの覚え方」について聞かれると、「僕はずっと同じやり方です」とした上で、「国語の授業みたいに『このシーンの中で、一番大事なワードって何だろう』って考える。僕のせりふだけでなく、他の人のせりふも含めて…。そのシーンの中で一番大事な言葉をまず探して、『これかな』というものを(ペンで)丸で囲んで、そこから自分のせりふを読むようにしています」と、独自のせりふの覚え方を明かした。
及川光博が「僕はバスタブで小さく声に出して読みます」と明かすと、沢村一樹は「その気持ちは分かる。バスタブだと他にすることがないからすごく集中できる。部屋でやるよりも返しの声が響くからいいんだよね」と共感した様子。
木村は「俺もやってみようかな…」と興味を示したものの、「お風呂場で読んだら、台本がグチャグチャになっちゃうでしょ?」と心配な様子。及川は「僕は眠くてポチャンと落とすことも。『やばい!』となったら、マネジャーが持っている(予備の)台本と取り換えっこしてもらいます」と笑った。
尾上菊之助は「長ぜりふはなかなか覚えられない」と苦労しているようで、「最近は、相手のせりふと自分のせりふの両方を一人で読んで録音し、それを聞きながら覚えています」と“録音派”であることを明かした。
鈴木京香は、本番までに何度も記憶をチェックするという。「散歩のときとか、お茶わんを洗うときとか、全然違うことしながら、せりふを覚えているかを確認しています。そこで『まずい!まだ(頭に)入ってない』となったら、帰って即行もう一度確認します」と真面目な一面をのぞかせた。
『新聞記者』の出演者は…
“ながら派”の中でも、少し変わった方法を披露したのは松坂桃李。6月の映画『新聞記者』の完成披露上映会で、せりふの覚え方を尋ねられた松坂は「焼き肉を焼きながら」と珍回答。共演者から「えっ、焼き肉を毎日焼くの?」と驚かれると、笑って否定しながら、「何かをしながらです。家に帰ってからも、割と自分に(他の行動で)負荷を与えながら覚えます。何か(料理)を作りながらとか」と話した。
田中哲司は「歩きながら覚える」といい、「むしろ歩きながらじゃないと入らない。そういう体になっちゃった。だから雨の日も外を歩きます」と説明。「家の中を歩き回るのは?」と聞かれると、「外じゃなきゃ駄目なんです」と首を横に振った。
北村有起哉も「何かをしながら…」という点では2人と共通していたが、「1時間を10分×6回ぐらいに分けて覚えます。お風呂に入っているとき、トイレに行っているときなど、不意打ちに10分間。同じ1時間でも分割して散りばめながら覚えます。長くやるのは無理なので」と“分割派”であることを明かした。
『任侠学園』「FORTUNE」の出演者は…
8月の映画『任侠学園』完成披露試写会では、西島秀俊がW主演した西田敏行から受けたアドバイスを紹介した。「食事でご一緒したときに、『せりふは食べろ。覚えたり、頭で考えるのではなく、せりふは食え』と言われて、なるほど…と思たんです」とエピソードを語った。
西田は「これは丹波哲郎先輩の言葉。『俺は、せりふを覚えられねぇ。でも“せりふを食べた”と思えばどんどん出てくる』と丹波先輩が言っていたので、それをそのまま(西島に)伝えただけ」と、照れくさそうに語った。
「コツコツ勉強派」の人もいる。11月の舞台「FORTUNE」制作発表会見で、主演の森田剛は、その膨大なせりふを覚えるために、「机に向かってとにかく読みます。受験勉強みたいな感じです」と嘆いて、笑いを誘った。
というわけで、大まかにまとめてみると、「お風呂に漬かりながら」「散歩しながら」といった“ながら派”がやや多い印象だ。この中には、たとえばランニングをしながらレコーダーを聴く“録音派”、時間を分割して覚える“分割派”なども含まれる。
また受験勉強のように、ひたすら台本を読み込む「コツコツ勉強派」の人たちには、「みんな苦労しているんだな」と親近感を覚える。
かつてある女優が「台本は絵本を見るように、画像として覚えます」と語っているのを聞いたことがある。これは木村のように、重要ポイントを押さえてシーンを立体的に把握する“イメージ派”、西田のように「せりふを食べた」と捉える“感覚派”と近いものがあるかもしれない。
方法はどうであれ、こうして俳優の体に取り込まれたせりふは、「役の言葉」として、視聴者にストレートに届く。誰も芝居を見ながら、「どうやってせりふを覚えたのか」とは思わない。きっと俳優も、カメラの前では「どうやってせりふを覚えたか」ということを、すっかり忘れて演じているのだろう。(山中京子)
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