ミュージカル「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~」

 音楽番組の特番では「ミュージカル特集」が組まれるのが当たり前になり、美しい歌声が話題になることも多くなった。今なお、大きな盛り上がりを見せているミュージカル、そして演劇業界。2020年も話題作が続々と上演される。そこで、映画やドラマでも知られる人気俳優・女優たちが出演する、注目の舞台&ミュージカル作品をご紹介しよう。

ミュージカル「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~」
 ブロードウェーミュージカル「キンキーブーツ」での演技が絶賛され、映像作品のみならず、ミュージカル界でも存在感を増している三浦春馬と、乃木坂46としてアイドル活動も行いながら、数々のミュージカル作品で高い評価を得ている生田絵梨花が初共演を果たす。日本初演となる本作は、「オペラ座の怪人」や「キャッツ」を生み出したミュージカルの巨匠アンドリュー・ロイド・ウェバーが手掛けた作品。脱獄犯である「男(ザ・マン)」とその「男(ザ・マン)」をイエス・キリストの生まれ変わりだと信じる無垢(むく)な少女が、次第に街の人々の対立に巻き込まれていく姿が描かれる。三浦と生田という実力派キャストが、美しい音楽に乗せてつむぐ感動作に乞うご期待。
 3月7日~29日、都内・日生劇場で上演。

PARCO劇場オープニングシリーズ第1弾「ピサロ」
 新たに生まれ変わるPARCO劇場のオープニングシリーズ第1弾として、渡辺謙主演で上演される本作。粗野な成り上がりのスペイン将軍ピサロと167人のならず者が、太陽を父とし、2400万人を従えるインカ帝国の王を生け捕りにしてしまうという、インカ帝国征服を主軸とした物語で、1985年に山崎努主演で上演された作品だ。当時、無名だった渡辺はインカの王・アタワルパを見事に演じ切り、世に名を知られるきっかけを作った。今回は渡辺がピサロ役を、そしてアタワルパ役を宮沢氷魚が演じ、壮大なスケールの本作に挑む。PARCO劇場で上演された名作として語り継がれる、伝説ともいえる本作。渡辺、宮沢によってどんな彩りを見せるのか。必見だ。
 3月13日~4月20日、都内・PARCO劇場

舞台「この声を君に~もう一つの物語~」

 竹野内豊主演で放送されて話題を呼んだNHKドラマ10「この声をきみに」のスピンオフオリジナル舞台作品。朗読教室を舞台に、声で心を開放する中で、人と人との交わりを丁寧に描く。舞台版の主演は尾上右近。脚本はドラマに引き続き、人気脚本家の大森美香が担当する。NHK連続テレビ小説「あさが来た」をはじめ、21年度の大河ドラマ「青天を衝け」の執筆も決まった大森による穏やかな物語が、疲れた心を癒やしてくれる。そして、歌舞伎俳優として活躍する右近が、2度目の現代劇で大人のラブストーリーをどのように表現するのか、期待したい。
 3月6日~8日、大阪・サンケイホールブリーゼほか、東京で上演。

ミュージカル「アナスタシア」

 葵わかなと木下晴香がWキャストで主演する本作は、アニメ映画『アナスタシア』に着想を得て制作されたミュージカル。1918年、帝政ロシア時代の最後の皇帝ロマノフ2世をはじめ、一族が殺害される中、皇帝の末娘アナスタシアだけは難を逃れて生き続けたという、歴史上の謎「アナスタシア伝説」に基づいた、愛と冒険に満ちた物語が描かれる。見どころは、華やかな衣装と、現代技術を駆使して壮大な世界観を表現した豪華な舞台セット。ブロードウェーを始め、世界各国で上演されて絶賛を浴びている作品だけに、日本初演となる本作への期待度は高い。
 3月1日~28日、都内・東急シアターオーブほか、大阪で上演。

「グッドバイ」

 太宰治の未完の遺作をケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が独自の視点で完成させ、第23回読売演劇大賞最優秀作品賞にも輝いたコメディーを、生瀬勝久演出の下、新たにつむぎ出す。単身、東京で暮らす田島周二が、田舎に残した妻子を呼び寄せるために愛人たちと別れようと、美女キヌ子と手を組み、騒動を起こす物語を、藤木直人、ソニン、真飛聖らが演じる。クスリと笑えて、温かな気持ちになれる極上の物語を堪能してもらいたい。ちなみに、KERAによる本戯曲を、大泉洋と小池栄子の出演で映画化した『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』も2月14日から公開される。
 1月11日~13日、都内・かめありリリオホールほか、山形、新潟、広島、大阪、香川、愛知、福島、東京で上演。

舞台「黄昏」

 1981年にキャサリン・ヘップバーン、ヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダの共演で映画化され、第54回アカデミー賞で主演男優賞、主演女優賞などを獲得した、アーネスト・トンプソンによる名作戯曲を、高橋惠子ら実力派キャストで上演。美しい湖の岸辺にたたずむ別荘を舞台に、老齢の夫婦と、その家族とのふれあいを描く。「老い」や「家族とのつながり」など、今の時代だからこそ考えたいテーマを含みながら、穏やかで優しい時間の流れが描かれる作品だ。共演に、瀬奈じゅん、松村雄基、石橋徹郎、若山耀人、石田圭祐。
 1月16日~19日、都内・紀伊國屋ホールで上演。

ダイワハウスSpecial 地球ゴージャス二十五周年祝祭公演「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」

 映画やドラマで活躍を続けている新田真剣佑が舞台初主演する本作は、岸谷五朗と寺脇康文が主宰する「地球ゴージャス」の25周年を記念した公演。09年に地球ゴージャス10作目として上演された「星の大地に降る涙」を岸谷が脚本を書き直し、ミュージカル要素をアップさせて上演する。地球ゴージャスの公演といえば、歌にダンス、そして華やかなアクション(殺陣)とエンターテインメントを追求したステージが見どころ。高いポテンシャルを持つ真剣佑がどのようなステージを見せるのか注目される。共演には、笹本玲奈、松本利夫(EXILE)、湖月わたる、愛加あゆ、島ゆいか、さらに森公美子らが名を連ねる。
 3月10日~4月13日、舞浜アンフィシアターほか、大阪で上演。

(嶋田真己)