海外のナイフの多くは金属を切り出して作るが、日本刀は「鍛錬して作られる」のである。そりゃ魂も宿りますわ!

刃物まつりで見ることができたのは、長い工程のうちの恐らくたったワンシーン。

白い袴を身に纏い、烏帽子を被った刀鍛冶たち。

一人がふいご(横にある大きな箱みたいなやつ)で風を送り、火の温度を調節し、温度になったら向こう槌(むこうづち)と呼ばれる叩く担当の鍛治たちが鉄を叩いていく。

やみくもに叩けばいいわけではない。状態を見て、その力加減を調節しているのだ。

これが職人技…!!

公開鍛錬は30分間。火を燃やし、鉄を熱し、叩いて…の繰り返し。

会場を取り囲む大勢の人たちが、その姿を息を飲むようにして見つめ続けていた。

しかし、その全行程が終わってもまだ「日本刀」は出来上がらない。

刀と柄(つか/持ち手のこと)を接着する「はばき」という部分を作る「白銀師」、

柄に糸を巻いて綺麗に仕上げていく「柄巻師」、

鞘(さや/刀を収める部分)を作る「鞘師」、

刃に不具合が起きたときのお医者さんでもある最後の仕上げ人「研ぎ師」など、様々な人の手を経由してやっと完成する。(「刀剣研磨外装技術実演」より)

こうやって職人たちの姿を間近で見ると、もともと美しい日本刀の奥に歴史が見えてより美しく見えてくる不思議…!

機械で大量生産が可能になった今でも、こういった職人技は決して機械のプログラミングは真似できないもの。

「データを取っても、果たしてその通りに行くかどうか。同じ材料を使って刀を作っても、同じ刀には仕上がらない。材料、環境、腕が合わさって初めて出来るもの」と刀鍛冶の一人は語った。

刀を見るということは、その一振り一振りの奇跡と対面しているということやったんや…!

関市の刃物まつりは、そんなありがたみを心の中にまで染み渡らせてくれる貴重なお祭りでした。

世界に誇る関の刃物~折れず曲がらずよく切れる~
第49回岐阜県関市刃物まつり(平成28年10月8日・9日実施)より

ひょんなことから刀屋で働くことになった20代女子。刀や刀マニアに囲まれる生活の中で自分がゼロからメロメロになっていったように、若者に日本刀の素晴らしさを広めるのが目標。Twitterで日本刀についての質問受付中!