森谷圭介(ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ) (C)F.SANO

見事に下馬評を覆した。ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズが5季目、最後の挑戦となる『スーパーラグビー2020』開幕戦で初めて白星を飾ったのだ。

「スーパーラグビー2020」のチケット情報

これまで日本代表が軸となってチーム編成してきたものの1年目1勝、2年目2勝、3年目3勝、代表の主軸が『ワールドカップ2019』に備え不参加となった4年目は2勝とこれまで最下位に沈んできた。最後のシーズンとなる今季は『ジャパンラグビートップリーグ2020』とシーズンが重なり、代表組は不在。パナソニック ワイルドナイツこそFL布巻峻介をはじめ、LO谷田部洸太郎、FB森谷圭介を送り出す英断を下したが、メンバーの大半は外国籍選手、トップチャレンジリーグ勢、大学生で構成。昨季までの積み重ねはゼロに等しかった。しかもチーム始動は年明け1月5日、準備期間は今回も短い。寄せ集めの急増チームは注目度も、期待値も低いまま2月1日を迎えたのだった。

それがどうだろう。福岡・レベルファイブスタジアムのピッチに立ったサンウルブズは躍動した。9分にWTBシオサイア・フィフィタの大きなゲインから連続攻撃を展開し、CTBに入った森谷が先制トライを決めた。15分にレベルズにPGを返されるも、19分にモールからHOジャバ・ブレグバゼがインゴールに持ち込んだ。23分にレベルズにモールからトライを奪われると、その3分後にはすぐさまトライを返す。SOガース・エイプリルのキックも好調で隙を見せない。22-13で迎えた後半早々に相手のチップキックを確保したFBジェームス・ダーガヴィルが左サイドを独走し、トライを奪い、サンウルブズが完全にペースを握った。ピンチとなっても、粘り強いディフェンスで相手ペナルティを誘った。61分には途中出場した早稲田大SH齋藤直人がワンテンポ溜めたパスを送りエイプリルがトライを決めて、勝負あり。その後、2トライを奪われたが、36-27で開幕勝利を飾ったのだった。

試合後、大久保直弥ヘッドコーチは「“サンウルブズは大丈夫か”という心配する声もあったようだが、この勝利を機に我々が寄せ集めではないとわかっていただけたらうれしい」と胸を張り、2度のジャッカルでピンチの芽を摘んだ布巻も「トップリーグが盛り上がる中、あまり注目されなかったので、“見とけよ”という気持ちもあった。これまで初戦を落としてきて、開幕戦から結果が出てうれしい」と喜びを表した。

『スーパーラグビー2020』第3節・チーフス戦は2月15日(土)・秩父宮ラグビー場にて開催。チケット発売中。秩父宮で行われる第7節・クルセイダーズ戦と第10節・レッズ戦のチケットは2月6日(木)午前11時よりプリセール先行先着、2月8日(土)午前10時より一般発売。