ロン・クレメンツ「彫刻的なデザインを表現するためにCGを選んだ」
ロン・クレメンツ監督「視察旅行の時点では、CGか手書きかハイブリットか検討中でした。
サモアで、アーティストに地元の絵画などを描いている画家を紹介してほしいと頼みました。
地元の絵画からインスピレーションを得たいと考えたからです。
しかし、地元にそのような画家はいないとの答えが返ってきました。
この地域では、昔から絵画ではなく彫刻が多いのだそうです。
そして、視察旅行での情景で、島々や水平線を見たとき、どこか彫刻的だと感じました。
断面の造形や光の当たり方が彫刻に見えたのです。
このような彫刻的なデザイン、人の顔を描くために、平面的な手書きよりもCGで表現することにしました。」
自然をCGで描く
『モアナと伝説の海』では、南太平洋のいにしえの文化が多く取り込まれています。
ディズニーがアニメーションを作るときは視察旅行をし、その文化を直接体験し、見て、作品に生かしています。
今回も監督は地元の絵画を見て、アニメーションのデザインのインスピレーションを得ようとしたとのこと。
しかし、サモアの島では平面の絵画ではなく立体的な彫刻が伝統的でした。
視察旅行の中で、長老のパパ・マペに「長年私たちはあなた方の文化に飲み込まれてきたので、今回一度くらいは私たちの文化に飲み込まれてみませんか? 」と言われたそうです。
彫刻的なデザイン、自然への尊敬という南太平洋の文化に感化され、“古い”物語ながら最新のCGが選ばれました。
「海」をキャラクターにして、大きな自然を舞台に繰り広げられるアクション・アドベンチャー『モアナと伝説の海』。
最新のCGが描く美しいアニメーションを観れば、監督が言う「彫刻的な自然」の意味がわかるでしょう。
『モアナと伝説の海』
2017年3月10日(金)全国公開