テレビアニメ放送20周年記念作品として、昨年8月に公開された劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』。世界興収百億円を突破という驚異的な記録を残した本作のBlu-rayとDVDが、3月18日に発売、同時にレンタルも開始された。本作でモンキー・D・ルフィを演じている田中真弓と、ウソップ役の山口勝平に、映画の魅力や原作、そしてアニメシリーズの楽しみ方を聞いた。

-改めて本作の魅力を教えてください。

山口 『STAMPEDE』は、ゴールドロジャーの宝をめぐって、海賊万博に集まった海賊たちが奪い合うという単純なストーリーですが、20年の歴史の中で登場したキャラクターたちがたくさんいて、とにかく派手な映画なので、今度はご家庭で何度も楽しんでもらえるのはすごくうれしいです。

-田中さんはいかがですか。

田中 本当にいろんな人が出てくるので、これ(スペシャル・デラックス・エディション&スペシャル・エディション特典の冊子)を見たらさらに楽しめると思います。

山口 そう、絶対スペシャル・エディションを買った方がいいですよ!

田中 あとは、好きなキャラクターに会えるという点ですね。私はエースに会えたのは本当にうれしかったです。

-もう特典の内容は見ましたか。

田中 さっきちらっと見たんですけど、こんなの絶対分からないよ!っていうところにも、いろいろなキャラクターが出ているんです。

山口 しかもこの冊子、登場するシーン一つ一つに秒数が書いてあるんです。

田中 止めてキャラクターを見つけるのも楽しいよね。

山口 この冊子作った人はきっと変態だよね。

-本編を楽しんでからキャラクター探しを楽しめますね。

山口 そうですね。あとはパッケージもかなり凝っていて、ポスターのイラストを正面から見た絵になっているんです。実は。

田中 え?そうなの?

山口 そう。ポスターだとみんな横を向いているでしょ? で、パッケージはそれを正面から見た絵になっているんです。

田中 おっ!本当だ、気が付かなかった!

山口 フッフッフッフッ。

-収録当時のお話を聞かせてください。

山口 今回は僕一人で収録をしたんですけど、ルフィのしゃべりも、間も、全部(感覚で)分かるっていうのはありました。もちろん一緒にやる方が臨場感はありますが、周りの仲間たちのしゃべり方や、間の取り方も、自分の中にもう入ってきているんだなというのを感じながらやれました。

田中 私は収録の途中で声が出なくなってしまいました。何とかここまでは終わらせたいっていうシーンがあったんですけど、そのときに、お兄ちゃん(サボ)役の古谷(徹)さんが『真弓、今日はここまでで止めておけ』って心配してくれたんです。しかも、サボの声で!

-それは、聞かないわけにはいかないですね。

田中 「お兄ちゃんに止めておけって言われたから止めます」って言いました(笑)。後から収録した(ダグラス・バレット役の)磯部(勉)さんが、私の枯れた声が入った映像を見て「これなら勝てると思った」って後日言われました(笑)。

-今回は、200人もの海賊たちが出演していますが、お二人の好きなキャラクターを教えてください。

山口 悪役といっても本当に悪いやつってそんなにいなくて、どこか感情移入できるような部分があるので難しいです。

田中 アーロン(※スタンピード未登場)とかクロコダイルって、昔は本当に嫌なやつだって思っていたのが、今ではそんなに怖くないよね。

山口 何か勝てそうな気がするよね。

田中 バギーとかワポルとかは憎めないキャラとして好きだね。(バギー役の)千葉繁さんが本当に面白い。

山口 真弓さんはエース?

田中 エースだね。あの子たちは? タマネギたち。

山口 ピーマン、タマネギ、ニンジンね。あの子たちは元気にしているのだろうか。

-ワンピースではおなじみのパンダマンも今回たくさん出てきますが、お二人はすべて見つけられましたか。

田中 昔はパンダマンを見つけるのが結構楽しかったんですけど、今は割と簡単に見つけられちゃう。

山口 映画館でパンダマンを見つけたって思っていたら、今回すごくいっぱいいてびっくりしました。2~3カ所見つけたけど、それどころじゃない数がいました。

-アニメシリーズの収録でもパンダマン探しはしますか。

田中 うちら(麦わら海賊団)の中ではよくします。

山口 します。パンダマンだけじゃなくて他のキャラクターとかでも。

田中 収録の時ラフ画のカットがたまにあるんだけど、誰がだれだか分からない状態でもウソップだけは分かるよね(笑)。

山口 あの鼻はウソップでしょ!って(笑)。

-劇場版は映像が完成した状態での収録でしたか。

山口 今回ですか?

田中 そうでもない…(笑)。間に合わないんじゃないかと思っていたけど…。

田中・山口 間に合うもんだね(笑)。

山口 皆さん本当に頑張っていました。今回は本当に間に合わないかも、なんて話もあったから、クオリティーが落ちちゃうんじゃないかと思っていましたが、完成した映像を見て、めちゃくちゃきれいでびっくりしました。

-台本のせりふの変更などはありましたか。

田中 全くありませんでした。

山口 物語には影響しない細かい助詞の変更などはありましたが、言葉から受ける印象は変わりますから、大事にしないといけない部分はあります。ワンピースって原作もそうですが、その人だから言うっていうせりふが結構あるので、それを大事にしなきゃいけない部分だなって思います。例えば、ウォーターセブン編でナミが言った「助けていいんだと分かったときのあいつらの強さは半端じゃない」っていうせりふも、以前ルフィに「助けて」って言って、助けてもらったことがあるから、説得力がありますよね。

田中 積み重なって生まれる感動もあるから、長く見続けてほしいよね。

山口 今回、ウソップもそうでした。「ルフィは海賊王になる男だ」っていう言葉も、長い付き合いの中から出てくる言葉というか、麦わらの一味は全員ルフィが海賊王になることを信じていますが、映画でそのせりふを言うことができたのはうれしかったです。

-本作は懐かしいキャラクターやオマージュも数多く出てくるので、かつて読者だったファンも楽しめる内容になっていますね。

山口 ワンピースの基本的な設定を知っていれば、誰でも楽しめるストーリーなので、この映画を見て本編に戻ってくるってこともできますし、映画シリーズの中でエピソードオブシリーズというのがあるので、順番に追い駆けて見ていけばストーリーが大体分かります。

田中 願わくば、そこからアニメシリーズや原作を最初から見てほしいです。(後編に続く)

(取材・文・写真/丸山有咲)