前回は、ウイルスの恐怖を描いた『復活の日』(80)と『アウトブレイク』(95)を紹介したが、もう一本、忘れてはならない映画がある。未知のウイルスによる感染症がアメリカで発生し、やがて世界中にまん延していく様子を描いた『コンテイジョン』(11)だ。 日本で公開された当時は東日本大震災の半年後ということもあり、大ヒットとははならなかった。キャッチコピーは「恐怖は、ウイルスより早く感染する」。コンテイジョンとは「伝染」を表す言葉である。 ミッチ(マット・デイモン)の妻ベス(グウィネス・パルトロー)は、香港への出張後に、せきと熱が出始める。同じころ香港、ロンドン、東京で似たような症状で亡くなる人が続出した。フリージャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)は、伝染病ではないかと考え始めるが…。 こうしたストーリー展開や、ウイルスの発生には中国、コウモリ、肉が関わっていること、感染やデマが拡大していく様子のリアルな描写などを見ると、今や、新型コロナウイルスの感染拡大を最も現実的に予測した映画、という評価ができるかもしれない。 スティーブン・ソダーバーグ監督は、ウイルスについて、世界保健機関(WHO)などで徹底的に取材したというが、このややこしい話を、豪華キャストを使って、1時間半あまりでそつなくまとめているのがすごい。 また『復活の日』や『アウトブレイク』が、ウイルスの脅威を描きながら、根底ではエンターテインメントとして成立させていたのに比べると、本作は、淡々としたドキュメンタリー的なものを感じさせる。だから余計に怖いのだ。 3作とも、ウイルスまん延の恐怖を描いた映画ではあるが、今見直すことで、改めて見えてくることや、考えさせられることも多々あるのではないだろうか。(田中雄二)
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