『梅ちゃん先生』だけでなく、4~6月期は、民放の連ドラでもドラマ内の恋愛で印象に残ったものがあった。4~6月期はミステリーが多く、純粋なラブストーリーは『もう一度君に、プロポーズ』くらいだったので、かえってメインのストーリーではない部分で描かれた恋愛模様が気になったのかもしれない。

『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~
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まず、草なぎ剛が主演した『37歳で医者になった僕』で、主人公・紺野(草なぎ剛)の同僚・沢村瑞希(水川あさみ)の気持ちが、なかなか繊細に描かれていた。紺野には腎不全と失声症を患っているすず(ミムラ)という恋人がいて、紺野はすずのためにも医者を目指した経緯があるので、この関係が崩れることはない。そもそも瑞希はエリートで、37歳で医者になった紺野を迷惑にしか感じていなかった。その瑞希が大学病院の体制を変えていこうとする紺野に次第に惹かれていく流れは、なかなか丁寧だったと思う。大学病院全体の描き方はかなりありふれていただけに、むしろ紺野によるまわりに変化は、瑞希が一番体現していたように思う。

終盤では、すずが瑞希の気持ちに気づいたような描写もあり、医師と患者の関係でもある瑞希とすずの女性同士のシーンは、かなり沁みるものがあった。最終回は、瑞希が一人ですずのお墓参りに行くという場面だけで終わらせ、余計なことを語らなかったところも良かった。

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『もう一度君に、プロポーズ』でも、メインの夫婦である波留(竹野内豊)と可南子(和久井映見)だけでなく、波留を好きになってしまった桂(倉科カナ)の描き方が印象に残った。波留が自分になびかないことは分かっていながらも諦めきれなかったところや、波留に一番弟子だと認められたことで気持ちの整理をつけたところなどは、なかなかいじらしかった。全体の企画としてはかなりベタな内容だったけど、脚本が意外に丁寧で、けっこう最後まで楽しめた作品だった。
 

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『クレオパトラな女たち』では、やっぱり峯太郎(佐藤隆太)と睦(稲森いずみ)の関係が興味深かった。ただ、これは8話で終わったので、最後は強引な感じになってしまったのが残念。状況としては不倫であり、峯太郎が幼い頃に母親と別れている過去もあったので、返す返すも2人の心情の変化を丁寧に描く完全版が見たかった。

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結果的にラブストーリー寄りになった『未来日記-ANOTHER:WORLD-』では、若者らしい真っ直ぐな感情が描かれた。ドラマとしては、最後になって仮想空間から現実世界への脱出方法がテキトーになった感じもするけど、由乃のキャラクターは剛力彩芽が可愛く演じたんじゃないだろうか。武井咲が二役を演じていた『Wの悲劇』に序盤だけ出演して、この『未来日記』の終盤には剛力彩芽自身も二役を演じるあたり、やっぱりオスカー内の競争も目が離せないなあ、という気はした。

7~9月期は、春ドラマよりもラブストーリーは多め。『梅ちゃん先生』の梅子と松岡の今後とともに、夏の恋にも注目してみたい。

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たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。