(C)2016「海賊とよばれた男」製作委員会 (C)百田尚樹/講談社

 大沢たかお主演のドラマ「JIN -仁-」を再編集した「特別編」全6話(TBS系)が、4月18日から5月3日にかけて放送された。10年近く前の作品でありながら、6話全てが2桁視聴率を記録するなど、好評を博した。

 本作は、幕末の江戸時代へタイムスリップしてしまった脳外科医の南方仁(大沢)が、現代の医療技術で病やけがに苦しむ人々を助けようと奮闘するヒューマンストーリー。中でも注目を集めたのが、公私ともに南方を支える武家の娘・橘咲を好演した綾瀬はるかだ。放送終了後、SNS上には「咲さんがかわい過ぎる」「咲さんのけなげさに涙腺崩壊」といった声が続出した。

 ところで、報道陣にも綾瀬ファンは多い。2019年の新春に開催されたイベントには、あでやかな振り袖姿で登場。イベントの終了後に“綾瀬本人”が報道陣の一人一人に餅を手渡しするというサプライズが実施され、いつもなら取材後はさっさと帰る記者たちが、このときはドキドキデレデレしながら一列に並んだものだった。

 今回は、そんな綾瀬の魅力がキラリと光る映画を紹介したい。

 NHK大河ファンタジー「精霊の守り人」(16~18)や「奥様は、取り扱い注意」(17)でハイレベルなアクションをこなし、その身体能力の高さを証明した綾瀬だが、時代劇アクションに本格的に初挑戦したのが『ICHI』(08)だった。

 本作で綾瀬は、孤高の盲目剣士・市を熱演。殺陣のシーンではスローモーションが多用されているため「物足りない」との声もあるが、「何斬るか分からないよ、見えないんだからさ」という、決めぜりふは圧巻。女性ならではの悲哀も描かれており、綾瀬のりんとしたたたずまいを楽しむことができる。

 同年公開の『僕の彼女はサイボーグ』(08)でも体当たりのアクションを披露。本作は、未来からやってきたサイボーグ(綾瀬)と現代の青年(小出恵介)が織り成す切ないラブストーリーで、綾瀬はサイボーグ感を出すために、「無駄な動きやまばたきをしないようにしていた」という。

 “ひたすらかわいい綾瀬”を鑑賞したいなら『ハッピーフライト』(08)がお薦め。航空機の安全運航に全力を尽くす人たちを描いたコメディー作品で、綾瀬はドジな新人キャビンアテンダントを演じている。そのおとぼけぶりに、「ほっこりする」「見ると元気になれる」という声も上がった。

 『プリンセス トヨトミ』(11)では、東京から大阪にやって来た会計検査院の調査官・鳥居忠子役で、持ち前のコメディエンヌぶりを発揮。少々頼りなさはあるものの、ときには天性の勘で大きな仕事をやってのける“ミラクル鳥居”を好演した。共演の堤真一、岡田将生とお好み焼きを頬張るおちゃめな姿も必見だ。

 一方、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずと共に四姉妹を演じた『海街diary』(15)では、妹に厳しいしっかり者の長女役に挑戦。綾瀬自身も「最初脚本を読んだときは、自分と掛け離れた役だと感じましたが、撮影が進むにつれて『私自身にもこういうところがあったんだな』と新たな発見がありました」と語っている。

 『海賊とよばれた男』(16)では、国岡商店を興した主人公・鐡造(岡田准一)の最初の妻で、従業員たちから母のように慕われるユキ役を演じた。大所帯をてきぱきと切り盛りする姿が頼もしいが、愛する人のために身を引くはかなさも印象に残る作品だ。

 ロマンチックなラブストーリーを堪能したい人には『今夜、ロマンス劇場で』(18)がある。モノクロ映画の中のヒロイン(綾瀬)と現実世界の青年(坂口健太郎)が織り成す恋愛物語で、切ない純愛が胸を打つだけでなく、綾瀬が着こなすレトロファッションの七変化も見ものだ。

 こうして見ていくと、コメディーにしろ、シリアスにしろ、綾瀬は「真っすぐでひたむきな女性役」が多い印象だ。そしてほとんど“悪役”が見当たらないことにも気付く。強いていえば、ドラマ「白夜行」(06)で演じた悪女・雪穂ぐらいだろうか。

 視聴者の中には、全く新しい綾瀬の姿を見たい人もいるだろうが、これまでの役柄と相まって、綾瀬はるか=「ひたむきで真面目」「天然」「ほんわか癒やし系」といったイメージが定着しているのも確かだ。

 とはいえ、綾瀬自身は“天然ボケ”説にはやや異議がある様子。綾瀬と共演した映画の会見で中井貴一が「綾瀬さんは天然ではない。とんちんかんなんです」と指摘したことがあったが、綾瀬も「私は天然とは違ってとんちんかんという言葉が一番合っている」と納得したように話していた。

 これまで、その美貌と人柄の良さ、確かな演技力で第一線を走ってきた綾瀬。一時期は、ドラマや映画の宣伝のみならず、企業のPRイベントにも立て続けに登場し、「一体いつ休んでいるのか?」とこちらが心配になったほどだった。

 それでも、イベントでは決して笑顔を絶やさない。そして人を楽しませることにも意欲的だ。何より自分自身がその場を最大限に楽しむことが、周囲を明るくすることにつながると考えているのだろう。緊急事態宣言で自粛生活が続く中、改めて彼女の作品を鑑賞し、その魅力を再確認してみてはいかがだろう。(山中京子)