現役引退を表明した女子フィギュアスケートの浅田真央が12日、東京都内で引退記者会見を開き、あらためて「私、浅田真央は選手生活を終える決断をいたしました。長い選手生活だったんですけど、たくさんのことがありました。今日は感謝の気持ちを皆さまにお伝えできればと思い、このような場を設けさせていただきました」と自らの口で報告した。
会場にはムービーカメラ50台、スチールカメラ100台、約430人もの報道陣が詰めかけ、テレビ局などが会見の模様を中継するなど注目の高さをうかがわせた。浅田自身も「今日この場に入ってきたときに、これだけたくさんの方がいらしてくれてびっくりしたんですけど、今は落ち着いています」と着席して笑顔を浮かべた。
約1年の休養を経て復帰した2015年からは「いい形でスタートできてなんとかシーズンを乗り越えられたけど、2シーズン目からはなんとか頑張ろうという思いだけでやってきた」と語り、「最後の全日本選手権で、ああもういいんじゃないかなっていう風に思いました」と決断に至ったという。
「オリンピックに出る」という目標を自ら掲げていただけに「目標をやり遂げないといけないと思っていた。自分の言ってしまったことへの葛藤はずっとありました」と、五輪出場を目指すことをやめる自分を、自分自身が許せるのか悩み続けたことで決断が伸びたことを明かした。それでも「自分が望んで復帰してチャレンジして出した結果。実際に挑戦して気持ちも体も気力ももう全部出し切ったので、いまは何も悔いはないです。晴れやかな気持ちです」と言葉通り晴れやかな笑顔を見せた。
最も印象に残っている演技を問われると「難しいです。でもやっぱりソチ(五輪)のフリーかなと思います」と悩んだ末に日本中に感動を与えた演技を挙げ、自身にとってのフィギュアスケートの存在についても「難しいですけど、ひとことで言うとやはり人生かなと思います」と語った。
また、今後は「5歳からスケートを始めて、いままでスケートにお世話になりました。これからはどんな形であってもフィギュアスケートに恩返しできるような活動はしていきたい」とフィギュアスケートに携わっていくといい、まずは「夏にあるアイスショーで、選手生活を終えて初めて皆さんの前で滑ります。いい演技を目指して頑張りたいと思っています」と新たな道への出発を誓った。
最後には起立し、涙が浮かぶたびに言葉をつまらせ、体ごと振り返り涙を拭って前に向き直ること2回。最後まで笑顔のまま、涙をこぼすことなく「皆さん、応援をどうもありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。