松井千士(キヤノンイーグルス)

7月9日、ラグビーセブンズ日本代表主将・松井千士のオンライン合同取材が行われた。ちょうど1週間前、サントリーサンゴリアスからキヤノンイーグルスへの移籍が発表されたばかり。キヤノン入団の経緯について、松井は「場所を変えることが成長につながると思った。『ワールドカップ2023』をプロとして挑戦する決断になった。『五輪』にかける思いは強い。ただ『五輪』に出るだけでは満足できない。自分が活躍した上でメダルを取りたいので、プロになりたいと思うようになった。プロになって勝負をかけようと。(サントリー時代の指揮官・沢木啓介が監督になったが)入団を決めてから知った。沢木さんから“俺が監督だけどいいのか”と言われ、“よろしくお願いします”と答えた(笑)」と説明した。

『東京五輪』が延期となったプラスとマイナスの両面を問われると、松井はこう答えた。

「3月に延期が決まった時はさすがにメンタルが落ちた。あと1年半準備する時間が増えたのは間違いなくチームにとってプラス。マイナスは桑水流(裕策)さん、橋野(皓介)さんらベテランが抜けこと。橋野さんとは同じチームになり色々話すが、(『リオ五輪』日本代表主将の)桑水流さんから色々学びたかった」

先月、『東京五輪』断念を発表した福岡堅樹から会見の場で「松井選手のトップスピードは僕より速い」とコメントされた点について質問を受けると、「福岡さんに言われてハードルが高くなったけど(笑)、すごい楽しみ」と返答した。

もちろん、主将は楽観視をしていない。チームの課題について、次のように語った。

「まだつながりが浅い。代表選考もあったので、個人個人になっていた部分がある。『東京五輪』では絶対まとまりがあるチームが勝つ。この1年まとまりを強くしていきたい」

チーム力だけではない。スピードスターは個々のレベルアップも必要不可欠だと言う。

「『ワールドシリーズ』に出ているチームに比べて、個々の力で足りない。全員スキルアップしないとメダルは取れない。全員が同じベクトルで同じ方向に向かって行かないといけない」

メダルを取るために、『東京五輪』までセブンズに専念するつもりだ。

「来年7月までセブンズに特化したい。『五輪』に向けて中途半端なことはしたくない。僕らは出るだけではなく、メダルを目指しているので」

さらに松井は『東京五輪』から『W杯2023』へ青写真は描く。

「『五輪』後にキヤノンでしっかり実力を見せて、ジェイミー・ジョセフ(日本代表ヘッドコーチ)にアピールして、15人制日本代表に選ばれるようになりたい。『W杯』を目指したい。二兎を追うのは難しいけど、挑戦していきたい」