SOMPO美術館

1976年に誕生し今年3月に閉館した、「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」が、「SOMPO美術館」と館名を改めて、2020年7月10日(金)に新しくお目見えした。「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び」と題した開館記念展では、ゴッホの《ひまわり》など約70点を見ることができる。当初5月28日にオープンする予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期。入場を日時指定制とし、体温検査・消毒液の設置といった対策を講じて、開館の運びとなった。

旧美術館は、1976年に開館し、現在の損保ジャパン本社ビルの42階に位置していたが、新美術館はビルの敷地内に新たに建設された。東郷青児の作品からインスピレーションを受けたというやわらかな曲線が特徴的な地上6階建てのビルで、1階がエントランスホール、2階がミュージアムショップと休憩スペース、3階から5階が展示室となっている。正面前庭にはゴッホの《ひまわり》を複製した陶板、外周には東郷青児の《超現実派の散歩》をモチーフとしたロゴのフラッグが設置され、新宿のアートランドマークとしての文化的空間を演出している。

開館記念展の「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び」。「四季折々の自然」「『FACE』グランプリの作家たち」「東郷青児(1897-1978)」「風景と人の営み」「人物を描く」「静物画-花と果物」の全6章で構成され、ゴッホやゴーギャン、ユトリロ、セザンヌ、ピカソ、東郷青児、東山魁夷、平山郁夫、藤田嗣治など、選りすぐりの約70点を紹介している。

見どころは、世界に7点しかないと言われるゴッホ《ひまわり》。1987年にコレクションとして加わり、アジアで唯一ゴッホの《ひまわり》を見ることができる美術館だ。仮反射のガラスケースで常設展示され、これまでよりも近い距離で鮮やかな色彩を見られるのがうれしい。古いニスの除去によって本来の明るい色彩を取り戻したルノワール《浴女》、全面的な修復を終え約10年ぶりのお披露目となる山口華楊の四曲一隻屏風《葉桜》、ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》、セザンヌ《りんごとナプキン》なども見逃せないだろう。

開館記念展は9月4日(金)まで。月曜休館(ただし8月10日は開館)。開館時間は午前10時から午後6時(最終入館は午後5時30分まで)。本展は日時指定入場制。入場料は大人1000円、大学生700円、高校生以下無料。

また、10月6日(火)からは「ゴッホと静物画-伝統から革新へ」が開催される。17世紀オランダから20世紀初頭までのヨーロッパの静物画の流れの中にゴッホを位置づけ、ゴッホが先人たちから何を学び、それを作品にどう反映させ、次世代の画家たちにどのような影響を与えたか探る。《ひまわり》や《アイリス》をはじめ、ゴッホが描いた静物画26点などが展示される予定だ。本展も日時指定入場制で8月中旬よりチケット販売。こちらもお見逃しなく!

取材・文・撮影:五月女菜穂