(写真左より)宮代大聖(川崎フロンターレ)、三笘薫(同) (C)J.LEAGUE

この強さ、神がかっている。『2020明治安田生命J1リーグ』で首位を独走する川崎フロンターレの話である。川崎Fは9月9日の第15節・ヴィッセル神戸戦でもキッチリ逆転勝利を収めた。体力・気力の消耗が激しい酷暑の連戦、かつ3週連続同一カードという難しい状況、さらに59分に逆転弾を許し残り10分と追い込まれながらも慌てず騒がず。ベンチも選手個々もやるべきことを遂行し、勝点3を手繰り寄せたのだ。

試合は早々に動いた。8分PKを獲得した川崎Fは、エース小林悠がGKの逆を突いて先制。6-0で粉砕した1週間前の再現かと思われたが、次の1点は神戸がものにした。23分パスで抜け出したFW古橋亨梧がGKとの1対1を沈めて同点。59分にはセルジ・サンペール、西大伍、山口蛍と流れるようなパスを最後はFW藤本憲明がねじ込んだ。

逆転を許す3分前、川崎Fはチーム得点王の大卒ルーキー三笘薫、66分にMF脇坂泰斗、ハタチのFW宮代大聖ら3枚投入、75分にはFWレアンドロ・ダミアンをピッチへ送り出した。

フレッシュなメンバーがゴールへの推進力を強める中、ダミアンがペナルティエリアでファウルを誘う。83分に背番号9が自らPKを決めた。85分にはカウンターが炸裂。脇坂がドリブルでゴール前に侵入しスルーパス、追走していた宮代がダイレクトに右足一閃。最後は神戸の猛攻に遭うも、人数を割いて粘り強く守り抜いたのだった。

この破壊力こそ川崎Fの武器である。16試合で取りも取ったり47得点。リーグ2位の柏レイソルが15試合で31得点と言えば、いかに川崎Fの数字が傑出しているかわかるだろう。しかも特定の選手だけに依存しないのも強み。小林と三笘が8ゴール、ダミアンが7得点、家長昭博が5得点、大島僚太ともうひとりの大卒1年目旗手怜央が3得点、ゴールスコアラーは14人を数える。いつでも、どこからでも、どんな形でもゴールを奪えるのだ。もちろん、攻撃力だけではない。15失点とリーグトップレベルの守備も兼ね備える。

中盤の底でチームを支えた守田英正は試合後、「交代で入った選手が自信を持ってプレーすることでチームの流れを変える要因になっている。スタート、サブという枠組みだけではなく、誰が出ても力を発揮できることが今年のよさ。そういうのが生きたゲーム」と胸を張った。

次の相手はサンフレッチェ広島である。だが、今の川崎Fはどこが相手でも死角はない。まさしく無双状態にある。『明治安田J1』第16節・川崎F×広島は9月13日(日)・等々力陸上競技場にてキックオフ。試合の模様はDAZNにて生配信。