フィリップ モリスが新たに展開する加熱式たばこ「lil HYBRID」をさっそく試してみた
加熱式たばこの代名詞ともいえる「IQOS」。その販売元であるフィリップ モリス ジャパンが、10月21日に新たな加熱式たばこのブランドを発表した。それが、韓国KT&Gが製造する「lil HYBRID(リルハイブリッド)」だ。両社は、今年1月にグローバルでの協業に合意。すでに東欧などで新製品の投入などを行っており、日本市場で今回の新製品が第1弾となる。
IQOSよりデジタルガジェットらしい! 洗練されたデザインと機能
lil HYBRIDはバッテリ一体型の加熱式たばこで、IQOSシリーズでいえば「IQOS 3 MULTI」に近い製品だ。楕円形状の円柱型で天面と底面はアルミの削り出しのようなシームレスなデザインを採用。ガジェットとして非常に洗練された印象を受ける。最大の特徴はたばこスティックとリキッドによるベイパーを組み合わせる「ハイブリッド テクノロジー」だ。双方の良いとこ取りをすることで、これまでにない新しい加熱式たばこの味わいを生み出している。
使用前に本体を充電、そしてリキッドカートリッジを装着する必要がある。カートリッジは上部を取り外して取り付ける。あとは、IQOSと同じようにたばこスティックを差し込むのだが、ユニークなのは差し込んだ瞬間に加熱がスタートすることだ。これは、「オートスタート」という機能で、起動ボタンを押すという動作を省略してくれる。
専用のたばこスティックにも着目したい。lil HYBRIDのスティックは、サイズ感こそIQOSに近いが、先端から葉が露出しておらず、Y字の穴が開いている。IQOSのスティックだと差し込んだときに、加熱部と葉がうまく噛み合わないということがたまにあったが、lil HYBRIDならそうした心配はいらない。
この専用スティックの最も大きい恩恵は、使用後に葉が散らないので、メンテンナンスが不要ということだ。IQOSをはじめ、ほとんどのたばこスティックを使用する加熱式たばこは内部からブラシなどで残った葉や煤を取り除かなければならない。放っておくと故障の原因になるが、紙巻きたばこにはない作業なので面倒に感じている人は多いだろう。lil HYBRIDならこうした手間から解放される。
本体に備わったディスプレイでさまざまなステータスを可視化する仕様も秀逸だ。表示する情報は、スティックの加熱完了までの時間、吸えるパフ数、バッテリやリキッドの残量など。デジタルライクな設計になっており、きわめてスマート。従来の加熱式たばこに慣れた人ほど、感動するかもしれない。
加熱にかかる時間は約25秒。吸える状態になると画面に「14」という数字が表示される。これは、吸えるパフ数のカウント。1回吸うごとに数字が減り、0になると自動で電源が切れる。なお、パフ数の上限まで吸わなくても、4分20秒の経過でも電源は落ちる。フル充電にかかる時間は約100分で、20本まで吸える。3本までなら連続使用にも対応している。
味わいはまさに「たばこ葉×リキッド」 軽い吸い心地でも高い満足度
実際にlil HYBRIDを吸ってみた。ここは、愛煙家として特に詳細に正直な意見を述べておきたい。先述した通り、lil HYBRIDはたばこスティックとベイパーの掛け合わせだ。そして、吸った第一印象もまさに「たばこスティックっぽいような、ベイパーのような」というそのままの感想をもった。
まず、たっぷりの蒸気と少し甘い味わいはベイパー独特のものだった。しかし、しっかりと肺に吸引するときちんとガツンとしたたばこ葉特有の感触が得られた。これは、確かに加熱式たばことして新しい感覚かもしれない。
気に入ったのは、軽い吸引でたっぷりと体に蒸気を取り込めることだ。加熱式たばこは紙巻きに比べると吸引に力が入るが、lil HYBRIDは思った以上に楽な吸い心地で驚いた。肺を満たすたばこ葉の感覚はIQOSの方が強いが、蒸気の量によって同じくらいの満足感まで高めてくれた。
逆に少し気になったのは、使用後のニオイだ。これは臭いという意味ではない。むしろ葉が散らないので、たばこスティックのニオイは極力抑えられている。気になるのは、ベイパー特有の甘い香りだ。室内で吸うと、しばらく部屋の中に香りが残った。もし同居人がいるなら苦手なニオイではないか、念のために確認した方がいいだろう。
発売時点でリリースされるたばこスティックは、「MIIX レギュラー」「MIIX ミックス」「MIIX アイス」の3種類。MIIX アイスがメンソール、MIIX ミックスがフレーバー系メンソールとなっている。いずれもベイパーとマッチする味わいで、癖が少ない。個人的にはフルーティーなMIIX ミックスが最も魅力的だった。
lil HYBRIDの価格は税込みで6980円。タイプの似ているIQOS 3 MULTIと同じ価格で、スペックやユーザーインターフェースの作りこみを考慮すると、かなりお買い得といえそうだ。逆に、たばこスティックは税込み500円で、1箱につき60円のリキッドカートリッジ1個を消費する。合計で560円のコストが生じるので少し割高かもしれない。
lil HYBRIDは、宮城県と福岡県のIQOSストア、IQOSショップ(ヤマダ電機の一部店舗)で10月26日、コンビニエンスストアなどのたばこ取り扱い店舗、IQOSコーナー(ドン・キホーテの一部店舗)で11月9日に発売される。まずは、テストマーケティングが行われ、全国展開を見極めるという方針のようだ。
加熱式たばこユーザー、特に紙巻きから切り替えた人は肺にガツンとくる感覚を重視していることが多い。リキッドのベイパーはそのあたりが弱く、自分には向いていないという先入観をもっているだろう。そんな人こそ、lil HYBRIDは試す価値がある。やっぱりIQOSの方がいいとなればそれで構わないし、lil HYBRIDの使い心地や蒸気の軽い吸い心地が気に入れば乗り換えればいい。体験してみないのはもったいないと感じた。(BCN・大蔵大輔)







