三笘薫(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE

川崎FがJ1最速Vに王手をかけた。『明治安田生命J1リーグ』第30節の試合終了間際に怒涛の猛攻で、横浜F・マリノスを3-1で撃破したのだ。これで次節に勝利すれば、2年ぶり3度目の優勝が決まる。川崎Fが再び走り出した。

11月18日・等々力陸上競技場での試合は、前半と後半それぞれに異なるサッカーの醍醐味が詰まっていた。前半は互いにスピーディで激しいボールへの寄せを発揮し、決定機を作らせなかった。攻撃を組み立てる中ちょっとしたミスや判断の遅れがボールロストに直結し、一方相手ボールとなればただちに回収にかかる。優勝へ向かって独走する首位・川崎Fと超過密日程で中位に甘んじる王者・横浜FM。置かれた状況は関係ない。ピッチ上では中盤でボールを奪い奪われるスリリングな展開を繰り広げたのだった。

緊迫感が張り詰めた攻防は40分、田中碧の一本のパスで変化する。抜け出した齋藤学のループシュートに対し、ペナルティエリア外に出たGK高丘陽平が手を出し、一発退場となったのだ。

数的有利となった川崎Fはここからゴールへの圧力を高める。後半からは10番大島僚太、J1新人最多得点更新も視野に入れる三笘薫を投入。53分、その三笘がゴール前のクロスの跳ね返りを自らダイレクトで決めて均衡を破る。だが、横浜FMも59分にCKからCB畠中槙之輔のヘッドですぐさまに同点。勝負を決めたい川崎Fは65分にFW小林悠、もうひとりの大卒ルーキー・旗手怜央をピッチへ送り出した。

攻める川崎Fと耐える横浜FMの構図が続く中、ラスト5分に試合が動く。90分に右クロスからのこぼれ球をCBジェジエウが泥臭く押し込み2-1。92分に大島のタテパスに抜け出した三笘が相手CBに倒されてPK獲得。小林が蹴るも、これはGKオビ・パウエル・オビンナが好セーブ。極め付けは95分、ハーフウェイライン手前からドリブルで駆け上がる三笘がついにはゴール前へ、相手DFを引き付けて最後は小林へパス。1か月ぶりに復帰したエースがとどめの一発を決めたのだった。

試合後、J1新人最多得点まであと1とする12ゴールをマークした三笘は「王手をかけたが、まだまだわからないと思っている。本当に次勝つことだけを考えたい。中2日だけど、いい準備をして臨みたい」と勝って兜の緒を締めた。

果たして、川崎Fは11月21日(土)・昭和電工ドーム大分での『明治安田J1』第28節・大分トリニータ戦でシャーレを掲げるのか。チケットはJリーグチケットにて発売中。試合の模様はDAZNにて生配信、NHK大分にて生中継。