8月13日に渋谷WWWで開催されるDOTAMA「ディスり過ぎてごめんなさい。謝罪会見ツアー渋谷公演」に、アーバンギャルド・松永天馬のソロ「松永天馬と自殺者たち」が出演。それに伴い緊急対談を敢行。「異色のメガネ×スーツ」対談です。
「僕たちはトイレで繋がった仲なんですよ」(松永)
松永:僕、実はDOTAMAさんにお会いしたことがあるんですよ。多分DOTAMAさんは覚えていないと思うんですが……。
DOTAMA:いや、覚えています!
松永:本当ですか?
DOTAMA:渋谷のLOUNGE NEOですよね。
松永:そうです。昨年の夏かな。DOTAMAさんの出演されていたイベントを観に行っていて、会場のトイレで用を足してたら偶然ご本人が入ってきたんですよ。そこで僕は「あ、DOTAMAさん! ……好きです」って、下半身むき出しのまま、今思うと謎の告白をしたんですが……「あ、はい」って引き気味に返してくれました。あの時のこと覚えていたんですね。
DOTAMA:一目見ただけで天馬さんだって分かりました。トイレだったので、自分もテンパってしまったのですが(苦笑)。
松永:それはお互い様ですよ! だから僕たちはトイレで繋がった仲なんですよ。「男子トイレで会った人なの」。
――DOTAMAさんの「ディスり過ぎてごめんなさい。謝罪会見ツアー」にて、8月13日渋谷WWW公演のゲストとして松永さん(松永天馬と自殺者たち)が出演します。オファーをされた経緯を聞かせてください。
DOTAMA:去年の……もっと前かな? とあるイベントでアーバンギャルドさんのライブを拝見して。スゴイかっこよくて、面白いな、と思ったんです。
松永:たしかそのイベント正直お客さんの入りが少なくて、だから「今日はもうメチャクチャやってやれ」という日でしたね。曲中にステージから降りて、バーカウンターまで行ってお酒をお客さんにおごってもらって(笑)またステージに戻って酒を口から吐いてお客さんにかけまくるみたいな……。
DOTAMA:お客さんも「マジかよ!」みたいな反応で(笑)。その場外乱闘も強烈だったのですが、ライブを拝見して、この方はアーティストとしてブレがない、オリジナリティを貫いていらっしゃるなと思って、今回、自分のツアーにお誘いさせていただきました。
松永:ありがとうございます。上から下から出してばっかりですみません。
DOTAMA:いえいえ。
松永:僕は正直ヒップホップやラップのことはあまり存じ上げないのですが、DOTAMAさんは「眼鏡とスーツ」というアイコンからして、これまで一般層が描いていた「ラッパー像」と違うじゃないですか。そこが新しいし、初めて見たとき妙にしっくりきました。ヒップホップらしい見た目にとらわれずにメッセージを届けている雰囲気があって。
ラップは今の時代、ロックよりも直接的なメッセージを伝えやすい音楽だと思う。ロックは産業化してしまって、なかなか言葉を直接的に出しにくいというか、サウンドやコマーシャリズムに隠れてしまっているんじゃないか。その一方でラップの言葉というものは、どんどん先鋭化している印象があります。
DOTAMA:目指してる方向というか、表現としての到達点って、実は皆さん、同じだと思うんですよ。そこにオリジナリティをどれだけ落とし込めるか。
今回、「謝罪会見ツアー」でご一緒していただいた皆さんは、言葉やパフォーマンスでお客さまを楽しませる上で、確固としたオリジナリティがあるなあ、と勝手に自分が思った方にお声がけさせていただきました。僭越ながら、自分もそういう表現を目指しています。「楽しませる」は「尖っている」と真逆に取れもするので、気分を害してしまうかもしれませんが。
松永:いえ、全然。むしろ言葉を生業にしてきたので、光栄です。
DOTAMA:登ろうとしてる山の頂上は同じだと思うんです。登り方の違いというか。
さきほど、一般の人が描いていた「ラッパー像」とは違う、と仰っていただきましたが、僕と同じようなスタイルのラッパーの方は、ルックス込みで、昔から結構いらっしゃいます。先人、同世代、後進も含め。
ただ、特徴的なキャラクターはそれこそ、その個性を上回る表現や、かっこよさがないといけない。やっぱりヒップホップは黒人文化、ハードさ、マッチョイズムが主流ですし、一本芯が無いとキャラクター勝負になってしまって、元来ある、それこそ松永さんが仰った「一般人が描くラッパー像」に淘汰されてしまう。