この世代は、SNS本来の価値や、潜在的な活かし方をよく知っている。SNSサービスに付加価値を付けていくことができる。彼らに権限を持たせ、リーダーとしてやっていけるように後押ししています。彼ら世代のアイデアで付加価値のあるサービスを次々に生み出してくれます。早い人であれば、入社2年目にはプロダクトの責任者として活躍しています。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズの周りの“大人”たちは、パソコンの価値に気付かなかった。彼らは学生時代からパソコンに慣れ親しんでいたからこそ、本来の価値に気付くことができました。これと同じように、いま25~30歳くらいの人たちは、学生の頃からSNSに親しんできたので、“大人”よりも、その価値をよく理解しているのです。
「のし上がろう」という人は少ない
自分と同じ1975年生まれ世代は、今の若い人たちに比べると、SNSを利用している人が少ない。SNSは、周囲にユーザーがどれだけいるかによって、使われ方が大きく変わってくるし、プレッシャー世代は学生の頃からヘビーに使っていたので、感覚がまったく違う。今出てきている驚くべきアイデアのほとんどは、彼らの発案によるものです。必然的に、年長者は彼らのマネジメントに回ったり、モチベーションをケアしたり、という役割が求められるようになりました。そうしたなかで分かってきたのが、プレッシャー世代の気質的特徴です。
第一に、物質的な豊かさより、精神的な豊かさを求める傾向があり、絆やチームワークを重視し、仕事に社会的な意義を求める傾向も強い。だからこそ、人とつながるSNSとの親和性が高い世代になったのでしょう。実際に仕事風景を見ていても、周りの人との協力関係をうまく築きながら、仕事の意義を追い求めている人が多い。この世代に社会起業家が多いのも、こうした傾向によるところが大きいのではないでしょうか。
他方で、私たちの世代と比較して、競争意識を持って「のし上がってやろう」と考える人は少ないように感じています。これは、社会的な変化が大きいでしょう。彼らが見て、育ってきた世の中は決して楽なものではなく、「厳しい世界であまり欲張ってはいけない」という気持ちが強く働いているように見受けられます。
10年周期で登場する
大物IT起業家たち
●1955年前後生まれ
1953・ポール・アレン(Microsoft)
1955・スティーブ・ジョブズ(Apple)
1955・ビル・ゲイツ(Microsoft)
1957・孫正義
(ソフトバンク)
●1965年前後生まれ
1962・南場智子(DeNA)
1964・ジェフ・ベゾス(Amazon)
1965・三木谷浩史(楽天)
1966・デビッド・ファイロ(Yahoo!)
1966・ジミー・ウェールズ(Wikipedia)
1967・ピエール・オミダイア(eBay)
1967・ピーター・シール(PayPal)
1968・ジェリー・ヤン(Yahoo!)
●1975年前後生まれ
1972・エヴァン・ウィリアムズ(Twitter)
1972・堀江貴文
(ライブドア)
1973・ラリー・ペイジ(Google)
1973・藤田晋
(サイバーエージェント)
1975・笠原健治(ミクシィ)
1977・チャド・ハーリー(YouTube)
1978・スティーブ・チェン(YouTube)
1979・ジョード・カリム(YouTube)
●1985年前後生まれ
1982・片桐孝憲
(ピクシブ)
1983・ベン・シルバーマン(Pinterest)
1984・マーク・ザッカーバーグ(Facebook)
1984・マット・マレンウェッグ(WordPress)
1985・アーロン・レビー(Box.net)
1986・デイビッド・カープ(Tumblr)
1986・村上太一
(リブセンス)
こうして分類すると世代ごとに共通するビジネスを行なっていることが分かる。プレッシャー世代の起業家たちは、スティーブ・ジョブズらの第1世代から数えて第4世代にあたり、ソーシャル系の革新的なサービスを次々と生み出しつつある。