はい。舞台中は家族とずっとふれ合えてなかったんですが、千秋楽後は、一緒に過ごす時間をもてました。友人たちにも「おつかれさま!」って、乾杯をしてもらったりして過ごしてました。

2017年は「舞台に始まり、舞台に終わった」と言えるくらいの1年でした。以前は、舞台に出ているのが「レア」な感覚だったけど、去年はその感覚がいい意味でなくなった1年でした。

だからなのか、千秋楽のときも「ああ、明日で終わっちゃうんだ」って、しんみりした気持ちはなかったです。良くも悪くも「舞台人」になり始めちゃっているのかな? こう言えるようになった自分が、少しさみしいような気もします。

もちろん、「この作品は二度とできないんだ」っていう悲しみはありました。カーテンコールのときも、宮澤佐江としてごあいさつしたときは、やっぱり感動して涙が流れましたし。

(松任谷)由実さんが隣で泣かれていたのを見たら、私も鼻がツーンとなって、涙をこらえられなくなっちゃって。お客さまも、スタンディングオベーションを送ってくださって。それが温かくて、ありがたくて。

客席で観てくださった多くの方は、ユーミンさんのファンの方で、たぶんこれまで、宮澤佐江を見てくださる機会もない方ばかりだったと思うんです。

でも、その方たちにも自分を知っていただけただけでなく、温かく見守ってもくださって。そのありがたさに感動がこみ上げてきました。

両親も何回か観に来ていて、ユーミンさんと一緒に舞台に立たせていただいたことをすごく喜んでくれた父が、

「ユーミンに、佐江ちゃんって名前を呼ばれるなんて、すごい」

って、舞台を観終わった後に言っていて。ユーミンさんと同じ舞台に立てることがどれくらいすごいことなのかを改めて感じました。親孝行できたのかなって思いました。

ーー「ミラチャイ」スタッフも舞台を拝見しました。今回、二回観劇したのですが、佐江ちゃん演じる紗良は、二度目の方がより「強い女性」という印象を受けました。寺脇康文さん演じる鳴沢肇を「私が守る」という強さが見えたというか。

ああ! それはあるかもしれません。毎公演、同じ紗良は演じていなかったから。

私がボロボロ泣いて、台詞をゆっくりとしかしゃべれないときは、寺さんが強い鳴沢肇を見せてくれて。寺さんにグンッと感情が入って、ボロボロ泣いちゃっているときは、紗良が強く見えるように自分でも意識しました。

そのときによって、言い回しや間(ま)も違って、「舞台に生きてる」ってすごく感じました。それは、そのときにしか観せられないもので、自分でもどういうバリエーションがあったかは覚えていないんです。

昨日はこの台詞言えたのに、今日は涙で言えなかったとか。やっぱりあるんです。

ーーそれが舞台のおもしろさでもあるんですよね。

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