脚本・岡田惠和、演出・田村孝裕、出演・風間俊介、倉科カナ、中川翔子、前田亜季の舞台『パークビューライフ』が4月7日に開幕する。稽古場にて田村に話を聞いた。

岡田作品を手掛けるのは2度目となる田村。コロナ禍の出来事を描いた今作について「大きなキーワードとして“多幸感”というものがあります」と話す。「でも、“ただただ楽しい芝居”にはしないです。そうするために必要なのはリアリティで、そこが成立していないと、底が浅いものになってしまうように思います。でもそこがちゃんと成立すれば、彼らの痛みも伝わるだろうし、苦しみも伝わるはず。このお話は、いわゆる依存だったりコミュニケーションだったり友情だったりの、『足りないところを補っていく』というような部類のものだと思うので」。

4人のキャストの印象は「風間さんは、演出全部受け止めます!って感じの方です。ご本人は、人間何回やってるんだ?というくらい(笑)ものすごく社交性が高い方ですが、演じる成瀬は人とあまりコミュニケーションを取ったことがない人物なので、今は成瀬の閉じ方の部分を話し合っています。もしかするとあまり見たことのない風間さんになるかもしれません。倉科さんは僕、すごく舞台に向いている方だなと感じています。とてもコメディエンヌで、稽古をやればやるほど良くなるし、いろんなことを試されますし、面白いことにすごく興味がある方なんだと思います。中川さんはやっぱり独特で、面白い呼吸とか間(ま)とか持っていらっしゃいます。演じる香苗とご本人でキャラクターが近いところがあるのですが、だからこそ自分にならないようにと考えて努力もをされている。すごくクレバーな方です。前田さんは受信の感度がハンパないんですよ。それは役者としてすごくいいことですが、今回はふたりを引っ張っていく、なんならこの物語を引っ張っていく役どころなので、強いエネルギーが必要で。そもそも物語の発端も、前田さん演じる望が『ここに忍び込もう』と言い出しますし、しかも2020年6月の出来事ですからね。不要不急の外出してるじゃないですか(笑)。それをやる強烈なエネルギーの放出は、あまり経験のないことらしいのですが、真摯に向き合ってくださっています」

「この作品と向き合って発見だなと思ったのは、今このご時世において“相手のことをちゃんと知ろうとする”ってこともドラマなんだってことでした。人とコミュニケーションを取って、相手に興味を持って、話すということにも価値があるんだなって」と田村が語る本作は、4月7日(水)から18日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演後、大阪、愛知を巡演。

取材・文 中川實穂