2004年に京都で旗揚げし、現在は東京を拠点に活動する悪い芝居の新作『スーパーふぃクション ふぉーエヴァー』。大阪公演を経て、東京公演が12月21日(木)に幕を開ける。今回、「第一幕ふぁイナル公演」と題し、今作をもって一度“幕間休憩”に入るという彼ら。その想いを脚本・演出の山崎彬に聞いた。
「悪い芝居 第一幕ふぁイナル公演 スーパーふぃクション ふぉーエヴァー」チケット情報
「昨年、今後、どういう方向性で劇団活動をしていくかをみんなで話し合ったんです。そこで、今まで通り年に一回はフルボリュームの劇団公演はやってこうということになり、アーティスト写真も撮り直して。だけど、今回の公演に向けて動き出しているときに理不尽なことがあって、ちょっとこの気持ちのままじゃ続けられないなっていう状態になって。だから、今回の作品を“第一幕ふぁイナル公演”として一旦、区切りをつけようと。じゃあ最後にやるのなら、一番力が強い作品をやろうって思って。それで振り返ったときに、2014年に上演した『スーパーふぃクション』こそが今やるべき作品だなと思ったんです」。
2014年は、劇団が注目を集め出してきた頃。ジレンマを感じていた山崎が、やりたいことをやろう、と生まれたのが『スーパーふぃクション』だ。「当時はメディアにも取り上げていただけるようになってきた頃で、ただ楽しくやるだけじゃなく劇団としての成果も求められる時期で、やりたいことが逆にできなくなっているジレンマを感じてたんです。だから、評価も動員も何も考えずに、好きなことを好きにやりたいっていう思いをそのまま作品にのせて、バンドの生演奏も取り入れて。溜まってた鬱憤を、後先考えずに出せた作品です。今回は、再演というよりは、『スーパーふぃクション』のマインドを取り入れるというか。スーパーふぃクションは、“超虚構”っていう意味の造語なんですけど、現実世界で本当にあり得ないことをやっている人たちの話で。今回、それをもっと悪い芝居に落とし込んでやってみたらどうだろうと。ある劇団の19年を描く物語なんですけど、結構、ドキュメンタリーに近い感じの作品になってます」。
幕間休憩を前に、悪い芝居らしさ全開のエネルギーに満ち溢れたステージが繰り広げられそうだ。「どの作品でも、お客さんが今まであんまりしたことないような観劇体験をして帰ってほしいなと思ってやっていて。今回は特に、本当にこれをやったらどうなるんかなっていうことを結果を気にせず盛り込んだので、知らない観劇体験ができると同時に、もうこういうのはいいやって思うかもしれない(笑)。それくらいの特殊な体験はできると思います。自分を肯定するというか、今までやってきたこと、生きてきたことも含めて、これでいいんだって思えるような、そんな作品を作りたいと思ってやってて。それがあってこそのエンタメだと思いますし。もちろんお客さんにも楽しめるように作ってはいますけど、今回は特に、結構自分たちに向けてる部分はあって、自分たち自身も悪い芝居の作品に鼓舞されるような、そういう作品になればいいなと思っています」。
公演は12月21日(木)から26日(火)まで、新宿シアタートップスにて。