例えば、『小銭入れ』を捨ててみる。決心して買う高価なモノより、いつ買ったのかすら思い出せない小さな出費の積み重ねが、生活環境を複雑にします。それなら、小銭が邪魔になって細々とした出費をしたくなくなるように、ペーパーウォレットやマネークリップを使ってみるといい。“正しい”買い物は生活環境をシンプルに変え、“常に自分が選んで行動する”という姿勢を身につけるための訓練として、とても有効です」

四角さんによれば、シンプルで充実した生活を送っている人は、自分の持ち物について「熱く語ることができる」という。第一歩として、例えばそれが100円単位の商品であっても、「自分の言葉で魅力を語れないモノは買わない」と決めてみるのもいいだろう。そう考えて選んだモノは、きっと人生を楽しくさせてくれるはず。

「“ないと物足りない”くらいのモノは、実は“なくても別にいい”モノ。手元に置くモノは、徹底的にこだわって厳選した方がいい」

また、家計を自分で管理する若手ビジネスパーソンにとって重要な「節約」についても、大きなポイントがある。ずばり、「節約を目的にしないこと」だ。

「人は節約を目的にした瞬間から、“お金を派手に使いたい”という気持ちとの苦しい戦いを、無意識に始めてしまう。節約した結果として、何がしたいか。シンプルで明確な目標がなければ、長続きはしません。また、“安いから買う”のは自分の人生に失礼だと考えて、金額にかかわらず長く大切に使えるモノを買った方がいいでしょう」

お金を貯めて、自分は何がしたいのか。四角さんは、あらゆるジャンルの好きなこと、好きなモノを集めたリストを作っておくことを勧める。テレビや雑誌のなかだけでなく、街中にも溢れている広告は、時に感性を刺激してくれるが、心を惑わせるノイズになることも多い。そんななかで、時折“好きなモノリスト”を眺めると、自分が本当に欲しいモノが見えてくる。「誰かに買わされている」のではなく、「自分で選んで買っている」と意識しながら、日々の買い物を楽しみたい。

お金の動きと生活環境をシンプルにする4つのこと

●「衝動買い」はしない!
「これは絶対に“買い”だ!」と、心がときめく商品に出会っても、すぐに買ってはいけな い。まずは、その買い物が「投資」か「浪費」かを、自分に問いかけてみよう。判断基準は、支払う金額以上の価値があると感じたら「投資」で、価値が同等か それ以下ならば「浪費」。それが100円のモノであっても、基準は変わらない。むしろ、少額の買い物を考えなしにする人は、大きなお金も浪費する傾向にあ る。欲しい商品に出会ったら、いったん家に帰り、1日頭を冷やすこと。翌日になっても欲しくてたまらないのであれば、誰が止めても再び、店に足を運ぶはず だ。そこで、「やっぱり買いだ!」と思えたら、満を持してレジへ。運悪く品切れになっていたら、後悔などせずに、次の出会いを待とう。

●「ストック」はいらない!
「生 活に欠かせない消耗品は、安売りの際にまとめ買いをしておく。そうすると、節約になるだけでなく、使いたいときになくなって困るようなこともなくな る……」という考え方は、シンプルなライフスタイルとは程遠い。インスタント食品にしても、トイレットペーパーにしても、ストックを大量に置いておくと居 住空間を圧迫するし、新しい環境に移りたいと考えたときに、フットワークが重くなってしまいがちだ。食材であれば、口にしないまま賞味期限が過ぎてしまう こともあるだろう。スーパーやコンビニ、通販サイトなどを自宅の「外部倉庫」だと考え、「現時点で、本当に必要なモノ」以外は、できるだけ買わないように したい。「ストック」という発想から解放されて、スマートな生活をしよう。