2018年にナイスコンプレックス初のオリジナル音楽劇としてスタートしたフリーカル『YAhHoo!!!!』の再々演が6月に東京と福島で上演される。本作は東日本大震災の原発被害により強制退去させられた福島県浪江町を舞台に、残された動物たちと故郷に戻れない人間たちの葛藤と未来への希望を“歌”“祭り”“演劇”で描くエンターテイメント作品。
主人公の犬の妖怪・ヤンスケを演じる柏木佑介は「僕の記念すべき初主演舞台です。今回も信頼するメンバーや新たな仲間と共に“お祭り”が出来ることが嬉しい!」と笑顔を見せる。ヤンスケの飼い主・浜花優治役はプライベートでも柏木と親交のある浅倉一男。「前回、酸欠で危うく足がつりそうになったので、今年は体力面を強化して臨みます!」と意気込みを語ると、優治の婚約者・西洋木蔦を演じる富田麻帆が「優治さんは私がしっかり支えますから頑張って!」と力強いコメントで場を和ませる。
「報道では伝えられない被災地の人々が抱える真実を知ってほしい」「浪江を知り、訪れるきっかけに」というメッセージを込めて宮城県出身の演出家・キムラ真が書き下ろしたリアルファンタジー。10年経ってもなお人々の心に影を落とす悲しい記憶も丁寧に描きつつ、鎮魂の祈りを最後に“祭り”という形で未来への希望へと繋ぎ昇華させていく。
「ゆくゆくは物語の舞台である浪江町での上演が目標ですが、実現にはまだまだ時間がかかる。それでも『ヤンスケ役、若いヤツに交代ね』って言われるまでは頑張りたいです(笑)」と茶目っ気たっぷりに語る柏木だが、その表情からは本作にかける覚悟が伝わってきた。
浅倉「コロナ禍のこのご時世に、板の上に立てる幸せを噛みしめながら、去年上演出来なかった分も気持ちを込めて演じます。僕らの熱い想いを受け止めてください!」
富田「エンターテイメントを楽しんでいる間だけでも辛いことを忘れられるように、笑顔で皆様をお待ちしています」
柏木「舞台は役者と観客との気持ちが交流する場所。必ず楽しんでいただける作品だと胸を張って言えます。ぜひ楽しみに劇場にお越しください。ヤッホー!!」

文:近藤明子