撮影:谷中理音

フランスで1637年に初演された劇作家ピエール・コルネイユの一大ヒット作『ル・シッド』が7月21日~25日東京池袋のあうるすぽっとで日本初上演される。
相思相愛の恋人同士が互いの親の諍いの為に仇同士となってしまう関係性を軸に、登場人物全てが誰一人妥協せず、自分の誇りを曲げず、絶対的な恋の炎に身を焼いていく恋愛劇に、元宝塚歌劇団男役スターとして活躍した宇月颯、十碧れいや、麻央侑希が顔を揃えた。
宇月「カスティーユ国の王女を演じます。騎士ロドリグに恋していますが、王女としての責任、国への愛に懸けて、この恋を葬らなければならないと、まさに恋と戦をしている強さを持った女性なので、双方への強い思いを表現したいです」
十碧「私の演じる騎士ロドリグは、恋人のシメーヌへの愛、父への愛、国への愛と全てに対して強い愛を持っている人で、王女様からも思われているのに相応しい人物で在りたいです。あくまでも人間ロドリグを演じるので男役の型は意識していませんが、それでもマント捌きや剣の扱い方など宝塚で培ったものは活かしたいですね」
麻央「ひたすらシメーヌを愛していると表明する場面が多い騎士・サンシュ役ですが、他の方の台詞で『ロドリグに劣らぬ人物』と称されているので、それが背中からにじみ出るように演じたいです」宇月「サンシュって登場の度に場の空気を変えるキーパーソンだよね!いまそれを言う?みたいなところがあって(笑)」
麻央「あれだけシメーヌに告白しているのに、ロドリグとシメーヌの背中も押すので、大きな人だなぁと」宇月「私は絡みが全くないからサンシュと芝居がしたかった!ロドリグは王女も自分を好きなことに気づいているのかな」
十碧「それですよね!私は台本3ベージ分の長台詞で、皆自分がどんなに相手を思っているかだけを語り続けるから(笑)」
麻央「会話になってないんじゃ?って思いますよね(爆笑)」
宇月「そう、この物語進んでる?とさえ思うけど、実はちゃんと進んでいるのが凄い!フランスの古典劇と聞くと難しく思われるかも知れませんが、決してそんなことはなくお客様に自由に受け取っていただける作品なので、是非楽しみに劇場にいらして下さい!」

文:橘涼香