これからもみなさんに、たくさんの気持ちを届けていけたらと思います

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ライブを終え、ファンに向けてメッセージを贈るメンバー(このMCは全員本当にすばらしかったです。なんらかのかたちで記録に残るといいのですが)。最後に語りだしたのは、リーダーの百田夏菜子です。ライブ本編中にも「わたしたちは、いつでも前に壁がないとダメだね」と言った彼女は、涙で声を詰まらせながら「夢が叶うということは、新しい夢が生まれるということ」、「目の前にある壁は、いつも夢でもあるんです」という名言を残しました。そしてこんな言葉で自身の、そしてももいろクローバーZのリーダーとしてのあいさつを締めくくったのです。

「これからもみなさんに、たくさんの気持ちを届けていけたらと思います」

自分は溢れ出る感情を抑えながら、この言葉を逃さぬよう急いでメモを取りました。そして自分がなぜももクロを好きなのか、その明確な答えをようやく見つけた気がしたのです。

誰かに気持ちを届けること。それはなにかを表現することの根本であり全てです。表現するかたちは様々でも、アイドルとファンはいつだって「気持ちを交感している」のです。アイドルがステージ上で一生懸命にパフォーマンスするのも、ファンが全力でコールしサイリウムを振るのも、届けたいのは「好き」とか「応援したい」とか「ヤバい」とかいう“気持ち”です。しかし自分も普段の生活で嫌というほど実感していますが、誰かに気持ちを届けることはとても難しいものです。面倒くさいし、手間もかかるし、失敗するし、間違えるし、もがいた挙句に正確に届かないこともザラ。届いたところで受け入れてもらえるかも分かりません。

そんな難しいコミュニケーションを数万人のファンと密に交わすことができるももいろクローバーZは、つまり「誰かに気持ちを届けることにめちゃめちゃ長けている人たち」なんだと思います。そして彼女たちの気持ちは、初めてライブを観た時からちゃんと自分の心にも届いていたことに気づかされたのです。
 

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激しいパフォーマンス、力強い歌声、刺激的な楽曲、思わずニヤリとするギミック、常に立ち向かう姿勢、未来へと向かう物語、眩しい笑顔、光る涙――そんなももクロのすべてを通して、自分は5人から“気持ち”を受け取っていたのだ。言葉に出来ないほど深いレベルで「気持ちの交感」をできていたからこそ、自分はももクロのことがこんなにも好きになったのだ。そんなことをライブの最後の最後に、ようやく気づかされたのでした。

わざわざ引っ張って今さらそんなことかよ!と言われると、確かにそう思います……どんだけ今さらなんだと。ただ自分は、他ならぬももクロのリーダーの言葉からこのことを気づかされたことが、とても衝撃的でした。デビューから5年にも満たない時間の中で、表現の本質を掴んでしまった彼女たち。特に急速に状況が拡大してきたここ1~2年は、想像を超えるほど濃密で過酷な時間だったのではないか――。思わず抱いてしまったそんな感傷を遮るように、涙を流していた5人も最後は満面の笑顔でステージを去り、夢に見た『紅白歌合戦』の舞台へと旅立っていったのでした。

新年を迎え、「国立競技場でのライブ」という新たに超えるべきハードルを発表したももクロ。紅白出場を経て、この先彼女たちはどんな道を歩んでいくのでしょうか。でも彼女たち自身も「わたしたちは何も変わっていない」と言うように、5人が「誰かに気持ちを届ける」という根本を見失わない限り、ももクロはももクロであり続けるでしょう。西武ドーム2daysを含む全国ホールツアーも決定しましたが、最近はライブを観ることも難しくなってきたももクロ。次にまたライブを観ることができる機会があったら、会場で自分の心に聞いてみようと思います。「俺、ちゃんとももクロの気持ちを受け取れているか?」と。
 

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