フィンセント・ファン・ゴッホ《黄色い家(通り)》1888年9月 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

展覧会『ゴッホ展──響きあう魂 へレーネとフィンセント』が東京都美術館(台東区)で開催中だ。

世界中で絶大な人気を誇るフィンセント・ファン・ゴッホ(1853−1890)。本展では、20世紀初頭にファン・ゴッホに魅了され、その世界最大の個人収集家となったへレーネ・クレラー=ミュラー(1869−1939)に焦点を当て、へレーネが初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館のコレクションから、ファン・ゴッホの油彩画28点と素描・版画20点を展示している。
また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの作品20点も合わせて展示し、ファン・ゴッホ作品を軸に近代絵画の展開をたどるべく築かれた、へレーネの類まれなコレクションを紹介。さらに、ファン・ゴッホ美術館から《黄色い家(通り)》を含む4点を展示し、20世紀初頭からファン・ゴッホの人気と評価が飛躍的に高まっていく背景にも注目する。

本展は「芸術に魅せられて:へレーネ・クレラー=ミュラー、収集家、クレラー=ミュラー美術館の創立者」、「へレーネの愛した芸術家たち:写実主義からキュビスムまで」、「ファン・ゴッホを収集する」、「ファン・ゴッホ美術館のファン・ゴッホ家コレクション:オランダにあるもう一つの素晴らしいコレクション」という4部構成。

見どころとしては、夜空にそびえる糸杉を力強く描いた《夜のプロヴァンスの田舎道》が挙げられる。「〈ヒマワリ〉のような作品にしたい」と、ファン・ゴッホがサン=レミで本格的に取り組み始めた糸杉。南仏滞在のおそらく最後に制作されたプロヴァンスの集大成とも言える作品で、16年ぶりの来日となる。

へレーネが最初に手に入れたゴッホの作品《森のはずれ》、ゴッホがオランダ時代に制作した版画を模写した《悲しむ老人(「永遠の門にて」)》、南仏アルルでゴッホとゴーガンが共同生活を送った家を描いた《黄色い家(通り)》なども必見だ。

会期は12月12日(日)まで。休室日は月曜日。ただし9月27日(月)、11月8日(月)、22日(月)、29日(月)は開室。開室時間は午前9時半〜午後5時半(入室は閉室の30分前まで)。観覧料は一般2000円/大学生・専門学校生1300円/65歳以上1200円/高校生以下無料。日時指定予約制(高校生以下も日時指定予約が必要)で、詳細は展覧会公式サイト(https://gogh-2021.jp)を確認のこと。問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)。

取材・文・撮影:五月女菜穂