働き方の変化やステイホームでデジタルライフが大きく変化するなか、Chromebookが急成長を遂げている。全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、Chromebookの2021年8月における販売台数は前年同月比4.7倍まで拡大。文教分野で先行して立ち上がっていた市場が、徐々に一般消費者にまで広がってきている。
Chromebookが市場に浸透 ASUSがトップシェア
ChromebookはGoogleの開発したChrome OSを搭載するデバイス。クラウド上でデータを管理することで、必要最低限のスペックで快適なコンピューティングができるのが特徴だ。従来のPCより価格が抑えられるだけでなく、高いセキュリティ性能も備えており、すでに米国などでは高い支持を得ている。
現在、日本市場をけん引しているのはASUSと日本エイサーだ。2021年は両社が年始からシェア争いを繰り広げており、8月時点ではASUSが43.8%で首位に立っている。ASUSは早くからChromebookを日本で展開し、幅広い価格帯で豊富なラインアップを揃えてきた。「Chromebook=ASUS」というイメージが浸透してきたことや選択肢の多さがトップシェアの要因となっているようだ。
売れ筋ツートップの新モデルが登場
ASUSのChromebookで特に売れているのが、「ASUS Chromebook C223NA(C223NA-GJ0018)」と「ASUS Chromebook C423NA(C423NA-EB0039)」だ。シリーズ別販売台数シェアランキング(1月~8月)で1位と3位を獲得しており、Chromebook C223NAに至っては22.9%と突き抜けている。どちらのモデルも2018年の発売以来ロングセラーヒットを記録しているが、10月に待望の後継機が登場する。
Chromebook C223NAの後継機となる「Chromebook CX1(CX1101)」は11.6型のモバイルノート。1.24kgと軽量なだけでなく米国軍用規格の堅牢性も備えており、抜群のモビリティを実現している。また約13.7時間の連続稼働が可能なロングライフバッテリーで、外出先においてもストレスなく使用することができる。
メモリは4GB、CPUはインテル Celeronプロセッサ― N4020と標準的なChromebookの構成だが、インターフェースはUSB Type-Cポート×2、USB Type-Aポート×2、microSDカードリーダー、イヤホンジャックを備えるなど、ビジネス用途でも不便なく使える仕様になっている。
180°まで開くことが可能なフラットヒンジを採用している点もおもしろい。必要最低限のスペックで快適なコンピューティングを実現するというChromebookの枠組みのなかで、ユーザーの使い勝手に寄り添ったモデルとなっており、初めてChromebookを購入する人にはうってつけの一台となっている。
もう1台の新モデル「ASUS Chromebook Flip CM1(CM1400)」はChromebookとしての可能性をさらに広げる設計を採用している。14インチの大画面ディスプレイは360°回転し、通常のノートパソコンスタイルのほか、映像視聴に最適なテントスタイル、タブレットスタイルなどの使い方ができる。CX1と同様に米国軍用規格の堅牢性を備えており、外出先での利用にも向いている。
また、画面上部のWebカメラ以外にキーボード下部にもカメラを搭載。ディスプレイを回転させることで、スマホカメラのように画面で確認しながら撮影を行うことができるようになっている。テレワークやオンライン学習では撮影した写真や映像を共有する機会が増えており、需要の高い機能となりそうだ。
メモリは8GB、CPUはデュアルコアのAMDプロセッサーを搭載。ストレージ容量は64GBで、日常使いには十分なスペックを備えている。インターフェースはUSB Type-Cポート×2、USB Type-Aポート×1、microSDカードリーダー、イヤホンジャック。こちらもビジネス使いにも申し分ない仕上がりになっている。
Windowsを搭載するPCを使い慣れたユーザーは価格が安いChromebookに不安を感じるケースも多いようだが、市場の成熟によりこうした問題も解消されつつある。また、ASUSでは水没や破損、ウイルス感染による故障も手厚くカバーする「ASUSのあんしん保証」の対象にChromebookも含まれているので、より安心して購入することができる。よりユーザーライクに進化したASUSの新世代モデルは市場拡大の流れを加速させることになりそうだ。(BCN・大蔵大輔)