左から、未沙のえる、植田紳爾、梅若玄祥、藤間勘十郎 左から、未沙のえる、植田紳爾、梅若玄祥、藤間勘十郎

フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットの生涯を題材にした能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』が12月12日(火)に上演される。それに先駆け記者発表会が行われ、演出と出演の人間国宝の観世流シテ方能楽師・梅若玄祥、振付・長唄作調の藤間勘十郎、脚本の植田紳爾、女優の未沙のえる、プロデューサーの西尾智子が登壇した。

能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』チケット情報

宝塚歌劇団の名作『ベルサイユのばら』を手掛けた植田が脚本を担当し、霊的な存在が主人公となる「夢幻能」として描かれ、アントワネットの後半生を描く本作。玄祥と植田は、漫画『ガラスの仮面』(原作・美内すずえ)を題材にした新作能『紅天女』(2006年初演)以来のタッグとなる。

植田は「宝塚歌劇団で『ベルサイユのばら』を再演する度に原作漫画を読み直し、アントワネットの資料を読み直してくる中で、こんなに悲劇的な女性はいないという思いが深くなってきました。僕が一番謎に思っているのは、目隠しもせずに堂々とひとりで断頭台に上がっていったときの思い。恐怖や恨みがある中で、目隠しも断り、首を落とされた。そのときの彼女の心境について今回、脚本を書くうえで感じたのは、アントワネットというひとりの女性が、最期の日に未来が見られたのではないかということ。だからこそああして上がっていったんだと考えました。今回の脚本はそういったことをテーマにしています」と内容を明かす。

玄祥は「僕も宝塚が好きなものですから、『ベルサイユのばら』は何十回と拝見していて、その中で、いつかこのマリー・アントワネットという女性を演じてみたいと思っておりました。植田先生には、見事に夢幻能として、死後の世界でマリー・アントワネットが語る、舞うというカタチを取っていただきました。私共にとっては演じやすいカタチになりましたが、題材が題材です。人気がある作品を能としてやるというのは難しいことかもしれないですが、挑戦してみます」と語った。

未沙は「宝塚時代に『ベルサイユのばら』初演にも出演しておりました。伝統芸能である能に携わらせていただくだけで本当に光栄。今はドキドキワクワクしています!」、玄祥の息子でもある勘十郎も「なにせ植田先生がいらっしゃいますし、父はどんなものでもすぐお能にしてしまいますので(笑)、見事なマリー・アントワネットをつくると思います。すごい先輩方がおられますから、存分に自分の力を発揮したいと思います」と期待を語る。西尾も「話を知っていると、とっつきやすい」と話すなど、能を知らない層の初めての作品にもオススメだ。

公演は、12月12日(火)に東京・国立能楽堂にて。同日15時開演の追加公演のチケットが現在発売中。