2013年1~3月期の冬ドラマも、約3分の1を消化した。当初は秋ドラマに比べると地味な印象のラインナップだったが、なんとか視聴率を2ケタでキープしている作品は多く出ている。そこで今回は、事前にウレぴあ総研で行った期待する作品のリサーチ結果(「<2013年冬ドラマリサーチ>いちばん気になる作品は?」[ https://ure.pia.co.jp/articles/-/11483 ](※2013/2/5現在の集計結果))を検証しながら、実際に放送されたドラマをチェックしてみた。
はたして今期の冬ドラマは期待通りの仕上がりになっているのだろうか!?
■期待値も視聴率も高い『とんび』
リサーチの結果、もっとも期待されていた作品は、TBS系日曜9時の『とんび』だった。重松清の原作で、NHKでも2012年1月にドラマ化されているので、大きく外れることはないという安心感があったのかもしれない。NHK版は前後編の2話で、モンテカルロ国際テレビ祭では最優秀作品賞を受賞。それを受けて2012年10月に再放送もされていた。そんな作品が民放の連ドラでどう映像化されるのかという期待感もあったと思う。
実際、視聴率は初回から17.0%、16.1%、16.0%と、冬ドラのなかではダントツのトップ(ビデオリサーチ社調べ・関東地区)。4話は裏でスペシャルドラマの『最も遠い銀河』を放送していたせいか、12.0%と極端に下がったが、ストーリーはたえ子(麻生祐未)の娘が訪ねてくるエピソードで、かなり泣ける内容だった。連ドラというスタイルも、ヤス(内野聖陽)の息子・旭の成長に沿って進めることができるし、おおむね期待通りの作品になっていると思う。
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TBS版の『とんび』は、原作やNHK版と違い、物語のスタートを昭和37年から昭和47年に変更していて、舞台も広島っぽさを出してない(ロケ地も広島ではない)。そういう意味では雰囲気がちょっと違うのだが、真っ直ぐな父子愛は多少時代がズレたり、地域色が薄かったりしても伝わるので、今後も大きな問題はなさそう。それにしても、初回に旭を演じた子役の男の子は可愛かったな。美沙子も常盤貴子が演じていたし、最初からつかみは十分だったと思う。
その『とんび』の裏番組、フジテレビの『dinner』は、逆にまったく期待されていない作品だった。やはり企画になんの新鮮味も感じられなかったのが大きな原因だと思う。初回の視聴率も8.8%と、『とんび』に大きく差をつけられていた。ところが、初回を見てみると、『王様のレストラン』のイタリアン版といった感じで、妙に安心して見られるという仕上がりだった。視聴率も2話、3話は2ケタに上がったし、いい意味で期待を裏切った作品と言えるかもしれない。ただ、結末に意外性は求められないので、後半は各回の脚本をかなり練っていかないとキツイかもしれない。