撮影/稲澤朝博

セックスレスや不倫など、タブーとされがちなテーマをセンセーショナルに取り上げるのではなく、日常にしみ込ませながら今どき夫婦の在り方を描くドラマ『1122 いいふうふ』。

結婚7年目、子供はまだいないものの、共働きで仲良し夫婦の一子(高畑充希)と二也(岡田将生)。だが実は、二也は不倫をしていて、それを一子も公認しているという状況。一子は自分が二也からのセックスの求めを拒否し、家庭外で恋をすることを勧めたにも関わらず、モヤモヤする日々を送っている。そんなとき、友人から話を聞いた女性専用風俗に興味を持った一子は、そこでセラピストの礼(吉野北人)と出会う。

吉野自身、礼を演じることは「挑戦」だったと明言し、「不安」もあったと振り返る。THE RAMPAGEのボーカルとしてアーティスト活動をする吉野にとって、簡単な決断ではなかったことは容易に想像できるが、その覚悟を持って演じられた礼はとても魅力的な青年として物語の中に存在する。

さまざまな想いを持って表現した礼についてや、吉野自身がこの物語から感じたことなど、じっくりと語ってもらった。

正直、めちゃくちゃ不安もありました

撮影/稲澤朝博

――脚本を読んだときはどんな感想を持ちましたか。

『1122 いいふうふ』というタイトルから、最初は言葉通りの円満な“いい夫婦”というイメージで読み進めたんですけど、実はいろんな問題を抱えた夫婦の話で、ここまでさらけ出すというか、切り込むというか、こういう題材を扱った作品って見たことなかったと思いました。

「これを映像化したらどういうふうになるんだろう?」と、ワクワクする期待感があったと同時に、自分が演じる礼については「なるほど……」と(笑)。個人的に初挑戦になることもあったので、正直、めちゃくちゃ不安もありました。

一子の悩みを真摯に聞いて一緒に解決してあげるような、手助けをするような関係になるんですけど、徐々に一子に惹かれていく一面もあって、難しい役どころだと思いました。

©渡辺ペコ/講談社 ©murmur Co., Ltd.

――「不安」という言葉も出ましたが、出演を悩む期間もあったのでしょうか。

ありました。最初にお話をいただいたときはまだ台本が出来上がっていなくて、役柄のイメージとかで具体的なところまではわからなかったんです。キスシーンがあるとは聞いていて、自分にとっては初めてのことだし、言い方が難しいんですけど、アーティストとしてのブランディングもあるしな、とか、いろいろと考えました。

でも作品自体も、ご一緒していただくスタッフの方々もすごくいいし、何より高畑充希さんという素晴らしい女優さんとお芝居をできる機会なんて、これを断ったら絶対にないと思ったので、「やります!」とお返事をしました。

そのあと、台本が出来上がって読んでみたら、「おお! これは結構な……」みたいな(苦笑)。そこでまた不安はありましたけど、やらせていただくからにはちゃんと見せたいなと。

そしたら、充希さんもキスシーンの経験はあるけど、こういう(ベッド)シーンは初めてとおっしゃっていて、「わからないことがあったら言って、一緒に頑張ろうね」というような言葉もかけてくださったので、思っていたよりもやりやすかったです。

役柄としては僕のほうが引っ張らないといけなかったんですけど、ありがたいことに充希さんが場を引っ張ってくださって、一緒に頑張ることができました。