■『ビブリア』の剛力彩芽も健闘
日テレ系土曜9時の『泣くな、はらちゃん』は、漫画の世界の住人が現実の世界に飛び出してくるという極端な設定なので、期待値も微妙だったが、好き嫌いもハッキリと分かれるかもしれない。ただ、自分たちの住む世界をどうしたいのか。そのためには何を受け入れて、何を変えて行かなければいけないのかなど、意外とメッセージは強く出ていて、見どころは多い。はらちゃんを演じる長瀬智也はやっぱり熱すぎる感じのキャラクターだけど、越前さんを演じる麻生久美子のふわっとした雰囲気で、全体的にはうまく中和できていると思う。
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あと、このドラマで使われている劇中歌が素朴な感じでなんかいい。越前さんの同僚・清美(忽那汐里)が歌う「初恋は片思い」バージョンと、はらちゃんが歌う「私の世界」バージョンがあるのだが、ドラマの世界観に合っていて、妙に耳に残ってしまう。最初からこのドラマを切ってしまっている人は、ぜひ一度見てみて欲しい。
日テレ系水曜10時の『シェアハウスの恋人』は、水川あさみと大泉洋のコンビは悪くないものの、どこにポイントを置いて描いているのかハッキリしない感じ。ラブコメディにしたいのは分かるけど、宇宙人ネタとかゲイネタとか、いろいろと中途半端なところがもったいない。今期は『サキ』や『とんび』でもフェイクでゲイネタを入れていたけど、テレビドラマではまだ拒否反応のほうが強いと思う。
で、良くも悪くも今期注目されていたのが、月9の『ビブリア古書堂の事件手帖』。主人公の栞子を、原作のキャラクターとまったく違う剛力彩芽が演じることで、キャスト発表時から批判の声は多かった。その結果、期待度のリサーチでも9位と下位にランキング。ただ、視聴率では、第4話終了時点で『とんび』に続いて2位をキープしている。
三上 延 (著)
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確かに原作の栞子は、髪が長く巨乳で、普段は人とまともに話せないくらい人見知りなのに、本のことになると饒舌になるというキャラクターなので、現在、剛力彩芽が演じている栞子とはまったく違う。そもそも、原作では栞子のほうが五浦大輔より年上なので、その設定からして違う。ただ、ドラマはドラマでオリジナルなものとして見ると、そんなに悪くないと思う。やはり古書にまつわる人間ドラマをミステリーっぽく描くという企画そのものが、かなり面白いんだと思う。そんなに目くじら立てずに素直に楽しめばいいんじゃないだろうか。
1話から3話までは、原作の1巻から進めていたが、4話では3巻の話に飛んでいた。ということは、太宰治の「晩年」を最終回にするということか。確かにそのほうが盛り上がりそう。登場人物のキャラクター以外にも変更点は多々あるので、オリジナルの作品として最後までどう引っ張っていくか、期待したい。