■タトゥーを入れている役が多かった2010年
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『Mother』で綾野剛が演じた真人には右手首にタトゥーがあったが、翌クールの2010年7~9月期にフジテレビ系で放送された『GOLD』に出演したときの綾野剛にもタトゥーがあった。
『GOLD』は、3人の子供を持つカリスマ美容研究家が、子供たちにオリンピックで金メダルを取らせるために独自の教育論を展開していくというストーリーで、脚本の野島伸司の世界観が色濃く出たホームドラマだった。主人公の美容研究家・悠里は天海祐希。3人の子供は、長男・洸を松坂桃李、次男・廉を矢野聖人、長女・晶を武井咲が演じていた。綾野剛は、高飛び込みのオリンピック候補になっていた晶を取材するカメラマン・洋介として登場。その左肩にバタフライのタトゥーがあった。
じつは、洋介は悠里の亡くなった兄・修一の息子で、晶とは従兄弟関係になるのだが、オリンピック代表選手だった修一の息子であることを証明するために晶に近づいていた。晶はそのことを知らずに洋介と親しくなってしまう、というような展開。綾野剛が演じる洋介は、身分を隠して晶に近づくという行動を取っていたが、けっして野心家ではなく、どちらかといえば繊細なキャラクターだった。長髪にタトゥーという外見でありながらも、どこか影のある人物像は、綾野剛に合っていたと思う。この作品では綾野剛と武井咲のキスシーンやベットインするシーンもあり、今見るとブレイク前の2人の貴重なシーンとなっている。
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さらにその翌クール、2010年10~12月期にNHKで放送された『セカンドバージン』でも、綾野剛はタトゥーのある役だった。『セカンドバージン』は、鈴木京香が演じるバツイチの出版プロデューサー・中村るいと、妻(深田恭子)がいる17歳年下の証券会社社長・鈴木行(長谷川博己)との不倫を描いた物語。綾野剛は、中村るいが19歳のときに生んだ息子の役で、パンクバンドをやりながら親のすねをかじっている男だった。両腕と首に派手なタトゥーがあり、ドラマの前半はかなりワイルドなキャラクターだった。
『セカンドバージン』は長谷川博己の出世作で映画化もされたが、連ドラ版に出ていた綾野剛も、その存在にインパクトがあった。切れ長でシャープな目はときに怖さもあり、舌足らずなしゃべり方は可愛らしくもあった。とくにこの作品での綾野剛は、親の愛情に飢えて反発している役どころで、ピッタリだったと思う。ちなみに、綾野剛は役者デビューの前からバンド活動をしていて、2007年の主演映画『Life』では音楽監督も兼任している。『セカンドバージン』のようにバンドマンという設定の役もいくつかあり、DVD化はされていないが、第22回フジテレビヤングシナリオ大賞受賞作の『さよならロビンソンクルーソー』では、演奏シーンを見ることもできる。