中野将伍(東京サントリーサンゴリアス) (c)JRFU

11月24日、ラグビー日本代表の『リポビタンDツアー2021』を総括するメディアブリーフィングが行われた。藤井雄一郎15人制男子日本代表ナショナルチームディレクター(NTD)が秋の代表シリーズを振り返った。

「一番悪い時にアイルランド戦があり、ポルトガル戦で制限した中で改善し、スコットランド戦は最後勝てなかったが、そこそこ評価できる戦いができた」

スコットランド戦で見せた戦術を今後ベースにしていくのか問われると、藤井NTDはこう答えた。
「各チームで強いポイント、弱いポイントがある。今後どういう形というより各チームに対応できるように色んな戦術を作り出して、ぶつけていきたい。スコットランド戦でやったことをそのままやるのではなく、相手を見てぶつけていきたい。日本も次のフェーズに入らないと世界と戦っていけない。日本の強みをどう生かすか、シフトしていくと思う」

藤井NTDはアイルランド戦での失敗も口にした。
「オーストラリア戦でみんな良くない自信をつけてしまった。1週間しか準備期間がなく、時差ボケもあり、あとから考えれば良くない雰囲気があったかなと。一番良くない時期の日本と一番いい時期のアイルランドが重なりああいう結果になった。キックでプレッシャーをかけられなかった。(ハイパントの)エスコート以前の問題で負けたと思う」

現在の課題に選手層の厚さを挙げた。
「これが今一番の心配材料、次の世代にいい経験を積ませられていない。サンウルブズがなくなり、全部のポジションが層で薄い。特にLO、今FLの選手がやっている。弱くなり出したらどんどん弱くなってしまう。試合によってひとりふたり変えていくのか、ごっそり入れ替えるのかしていかないと、2023年以降が厳しくなる」

一方で初キャップをマークしたCTB中野将伍、LOワーナー・ディアンズら新戦力に期待を寄せた。
「ポルトガル戦、スコットランド戦で中野選手が試合に出たが、リーグワン10試合20試合分の経験ができたと思う。(ディアンズは)きっとスーパースターになると思う。2mの身長とスピード、スキルも素晴らしい。試合に出られなかった選手も遠征に帯同・練習し、テストマッチの肌感覚は疑似だが体感したので、いい経験になったのでは」

また藤井NTDは来年のテストマッチについても言及した。
「まだ発表できないが、大体決まっている。数試合、ティアⅠとやる方向。春はたぶん国内になるのでは。秋は今回と同じようにホームとアウェイ両方でやると思う。ティアⅡとの試合も入ってくると思う。それとは別でアジアと若手の試合を組めたらいいかなと思っている。NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド=将来日本代表に選出される可能性の高いポテンシャルを持った人材)という形でやりたいという希望を出している」