ももクロのセルフカバーも! 破格ぶりを見せつけたライブ――相対性理論

トリを飾るのは、珍しいイベント出演となる相対性理論です。マンウィズ、ももクロとアッパーなライブが続いたフロアも、中心のマイクを囲むようにセッティングされたステージを前に期待と緊張が交るような独特の雰囲気に包まれます。

やくしまるえつこが英詩を朗読するSEに乗せてメンバーが登場、やくしまるが姿を現すとひときわ大きな歓声が上がります。そして1曲目はなんとやくしまるがももクロに楽曲提供した『Z女戦争』のセルフカバー!

以前夏フェスで彼らを見たときにSMAPに提供した『GAIAにおねがい』を演奏していて驚いたことがありますが、クールで謎な印象を漂わせつつも絶妙なサービス精神があるバンドなんですよね。この幕開けにはももクロファンも大喜びで、自分の周りでは間奏部分で「よっしゃえつこー! えつこ! えつこ! えつこ! えつこ! えつこ! えつこ! えつこーーー!」とコールをする強者がいました。モノノフの臨機応変力、ハンパないです。

2曲目の『スマトラ警備隊』以降は、新曲を4曲連続で披露するという予想外の展開に突入。しかしこの新曲群がどれもすばらしかったのです。特に6曲目の「♪東京シティー」「♪妄想シティー」というサビのフレーズが頭に残るナンバーは、急スピードで移ろい続ける東京という街をスケッチしたかのような世界観で、じつに相対性理論らしい名曲。その他もリリースが楽しみな曲ばかりでした。
 

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歌声、歌詞、メロディ、アレンジ、演奏……それぞれを取り出すとバラバラでチグハグに思えるのに、それらがあいまった瞬間「これぞ相対性理論」という音楽が立ち現れる。「この歌詞にはこのメロディがハマるだろう」「この声にはこんな演奏が合うだろう」、そんなある種の”お約束”をことごとく外した不可思議なサウンドは、しかし揺るがないキャッチーさを誇っています。

新曲を連発したセットリストでも場がまったく緩まなかったのは、彼らの音楽が聴く者を選ばないポップネスを備えていることの証明と言えるでしょう(それはこの日出演したMAN WITH A MISSIONとももいろクローバーZにも同じことが言えます)。

ラストは人気曲『LOVEずっきゅん』でフロアを踊りに踊らせた後、「バイバイ」というやくしまるのひと言でアンコールも無くライブは終了。彼らが破格のバンドであることを再確認したステージでした。


SET LIST
1.Z女戦争
2.スマトラ警備隊
3.新曲
4.新曲
5.新曲
6.新曲
7.LOVEずっきゅん
 

言ってみればこの日の3組のセレクトも、全国のCDショップ店員の手によって選ばれたようなもの。<音楽ファンに新たな音楽との出逢いを提供したい>という『CDショップ大賞』の理念をそのまま反映したような面々が、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた一夜でした。

激変する音楽業界の中で、毎回試行錯誤を繰り返しながら進化している『CDショップ大賞』の意義は、年々大きくなっているように感じます。これからも新たな音楽との出会いのきっかけとしてますますの発展を願いつつ、次回の開催を楽しみにしています!