日本の子育ては、ママばかりに負担がかかりすぎているといわれています。産休はもちろんですが、育児休暇を取得するのも、ほとんどがママ。
一方で、イクメンが脚光を浴びる風潮が続き、最近ではメディアで「育休をとった」という男性の話を聞くことも増えてきました。
しかし厚労省の発表によると、2016年度の男性の育児休業取得率は、たった3.16%。年々少しずつ増えているとはいえ、まだ一般に普及しているとは言いがたい状況です。
街を歩いていても、ママたちの話を聞いていても、「イクメン」自体は増えている印象があります。それなのになぜ男性の育休取得はなかなか広がらないのでしょうか。
男性の育休取得についてはさまざまな議論がなされていますが、今回は、パパたちのホンネや体験談から、育休取得が広まらない理由を考えてみました。
周囲のパパたちの状況や話を見聞きする限りでは、主な理由は次の3つに集約されるようです。
1.言い出せる空気じゃない!
まず周囲のパパたちが口を揃えるのは、「とても育休がほしいと言い出せる空気ではない」ということ。現在の日本では、育休をとって仕事を続けている女性はいても、育休をとる男性となると「前例がない」という職場がほとんどなのです。
20代、30代であれば「正直、やっと一人前になって仕事を任されるようになってきたところ」というパパも多いですし、40代なら、「長期の休みをとれば、自分のポジションに穴が空いて職場が回らない」と感じるパパも。
もちろん、職場で育休を取得する際の「言い出しにくさ」「休みにくさ」は働くママも同じなのですが…。
ただ、パパの場合、周囲から「子どもができても、男だから育休をとるはずがない」と思われている分、ママ以上に休みにくいのは事実でしょう。
2.出世に響く可能性も?
「とりにくい空気」だけなら、「それでも赤ちゃんとママのために、俺は育休をとる!」という積極的なパパも出てくるはずです。
でも、育休を取得することで、出世や昇級に影響が出る可能性があるとしたら? 出世への影響は、収入を左右する問題なので、「自分のプライドだけの問題じゃなく、ママや子どもにも迷惑がかかる」と考えるのがパパの自然な発想ですよね。
実際に出世に響くかどうかは、休んでみないとわかりませんし、職種や職場の社風などにもよるでしょう。
ただ、ママが産休や育休をとることで、マミートラック状態(復帰後の女性が、出世や昇級の見込みが低いポジションに追い込まれた状態)に陥ったという話はよく聞くことですから、パパにだって十分にあり得る話です。
3.収入が減る
加えて、大きなネックとなるのが「パパが休むと収入が減る」という問題。
といっても、会社員男性の場合は、配偶者の出産日当日から育児休業給付金の対象となり、雇用保険から育児休業給付金が出ますので、無収入になるわけではありません。
給付額は、最初の6カ月は休み前の賃金の67%、それ以降は50%と定められています。(給付期間は原則1歳に達する日の前日まで。要件を満たした場合、最大で2歳に達する日の前日まで受給できる場合も。参照:厚生労働省「Q&A~育児休業給付~」)
しかし、それでも一定期間、パパの収入が減ることに変わりはありません。
子どもができて、ただでさえ、何かと物入りな時期。子どもの将来のために、これから教育費も貯めねばなりません。そのような状況で、最終的に、ママが休む場合とパパが休む場合とを天秤にかけて、「ママが休む方が現実的」と判断する家庭は多いようです。
フリーランス・自営業パパの場合、1や2に関して言えば、会社員パパよりハードルが低いように思えます。
しかしその分、自営業パパには収入面が大きなネックになります。自営業パパの場合、通常、会社員のように育児休業給付金が出ないので、その間の収入が激減、もしくはゼロになってしまうからです。