昨年放送され、子育て中のママたちから多くの共感の声を集めた、『NHKスペシャル ママたちが非常事態!?』。書籍『ママは悪くない! 子育ては“科学の知恵"でラクになる』は放送の内容に加え、漫画家である著者が、番組で得られたヒントを自らの子育てで実践するコミックエッセイです。
今回は本書の中から、最新科学から見た「パパとママの違い」をご紹介します。「パパの抱っこだと泣いてしまう」「パパが子どもの泣き声に鈍感」というのも理由があったのです。男女の違いを理解すれば、パパにもうまく育児に関わってもらうことができるはずです。
赤ちゃんの「人見知りの仕組み」が最新科学で解明
個人差はありますが、生後半年ごろから始まる人見知り。赤ちゃんはママにべったりで、パパにまで人見知りしてしまうことも。「俺が抱っこしても泣くから」などと言って、ママ任せにしようとするパパにイライラした経験のある人も多いのではないでしょうか。
赤ちゃんのこの「人見知り」の行動の理由も、最新科学で明らかになってきました。人見知り真っ盛りの10ヶ月の赤ちゃんに、ママと知らない女性の顔を並べて見せたところ、なんと赤ちゃんはママではなく、知らない人の顔を頻繁に見ていることがわかりました。
一方、人見知りをする前の赤ちゃんは、同じ実験でママの顔ばかり見ているそう。これは赤ちゃんの脳が未熟で身近な人しか認識できないから。人見知りは、他の人も認識し、関心を持てるようになった証拠なのです。
人見知りは条件反射!パパも安心して触れ合ってOK
関心を持っているはずの他人を見て泣いてしまうのはなぜなのでしょうか。これは人間の脳の仕組みによるもの。実験では、人見知りの赤ちゃんの視線が、知らない相手の目の辺りに集中していることがわかりました。
実は動物は、相手を威嚇する場合に目を合わせることがほとんどで、目が合うと反射的に相手を警戒してしまうのです。人間の脳の仕組みでも、人と目が合うと、恐怖をつかさどる「へんとう体」という場所が自動的に働くことがわかっています。
大人の場合は前頭前野が働き判断することができますが、赤ちゃんの脳ではそれができません。そのため、目が合うと反射的に強い恐怖を感じ泣いてしまうのです。
ですから、抱っこをするときも赤ちゃんと向かい合うのではなく、膝の上などに乗せてママの方を向けてあげるとよいそう。抱っこしている人が、ママと仲良くしている人だと分かると、赤ちゃんも「この人は味方だ」と安心できるのだとか。
「泣かれるから」と育児に消極的になるパパも多いと思いますが、人見知りはいわば条件反射。パパにもそれを知ってもらい、安心して触れ合ってもらいましょう。