近年、フランス式の子育てが脚光を浴びているようです。

書店の育児書コーナーでも、フランスというワードが目につきます。「フランスの子どもは夜泣きをしない」「フランスの子どもはなんでも食べる」なんてタイトルを見たら、「そんなふうに育てたい!」と飛びつきたくなりますよね。

しかし、実際にこれらの本に目を通してみると、日本とフランスでは社会の仕組みや文化的背景が異なるため、実践には向かない点も多いと感じました。

たとえば、フランスでは「子どもができてもカップルであるべき」と考え方が根強く、長期の休暇には子どもを田舎の祖父母に預けて、夫婦だけで過ごすのが一般的だといいますが、日本では、よほど理解のある協力者に恵まれない限り難しいでしょう。

また、スナック菓子やファストフード、加工食品をあまり使わないなど、食に対する姿勢がストイックすぎる印象も。いまどきの日本のママが完全に見習うのはムリがあるかも…。

そこで今回は、フランスの子育てを紹介した書籍を参考に、日本のママが無理のない範囲でできそうなポイントをまとめてみました。

1.赤ちゃんが泣いたら、数分様子を見る

まずは、パメラ・ドラッカーマン著『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』から見ていきましょう。

本書には、パリに引っ越したアメリカ人女性が、周囲のママたちから学んだフランス式の子育て術が紹介されています。なかでもインパクトがあるのが、赤ちゃんに夜泣きをさせないためのちょっとしたコツです。

一般的に、日本のママは、生後数ヶ月の赤ちゃんが泣くと、すぐに駆けつけて抱き上げ、おっぱいやミルクを飲ませますよね。しかしフランスのママは、夜間に赤ちゃんが泣いても、すぐに抱き上げてあやしたりせず、「ちょっと待って、観察」します。

というのも、赤ちゃんが夜泣きするのは、おむつが濡れて不快だったりお腹がすいたりしたときだけではなく、単に睡眠サイクルの谷間に目を覚ましただけというケースが多いから。

夜中に泣いても、しばらくそのまま泣かせておくことで、赤ちゃんが睡眠サイクルをつなげる訓練になり、やがて朝までぐっすり眠れるようになるそうです。

そういわれてみると、うっすら目を覚ましただけなのにその都度、口におっぱいを突っ込まれていたら、まだ睡眠サイクルの不安定な赤ちゃんがうまく眠れなくても当然という気もします。

本場フランスでは、5分10分泣かせっぱなしにすることも普通みたいですが、日本では住環境や家族構成によっては迷惑になることもあるので、2、3分待ってみるといいでしょう。

そして、その間に赤ちゃんが何を求めているのか、泣き方や表情をよく観察して、おっぱいをあげるのは本当にほしがっているときだけにするといいでしょう。

ちょっとした工夫で、朝までぐっすり、とまでいかなくても、少しでも睡眠サイクルが長くなれば助かりますよね。

2.決められた範囲の中で自由にさせる

多くの日本のママにとって、子どもがイタズラしたり散らかしたりするたびにガミガミ言っているのに、結局言うことを聞かない…という状況は日常的な光景でしょう。

一方、本書によると、フランスでは、親は子どもに対してダメなことははっきりダメと言う気風があり、お行儀のいい子どもが多いといいます。

つまり、フランスのママは、「叱り上手」なのですね。