一般的に、フランスのママは、「ここまでならOK」という範囲をあらかじめ決めておき、その範囲のなかでは自由にやらせるそうです。

たとえば、寝かしつけの時間。フランス式育児だと、寝る準備をして子ども部屋に入った子どもは、部屋から出ることは許されません。しかし、部屋の中では、眠くなるまで、少し遊んだり本を読んだりと、好きなことをして過ごしていいのです。

ただし、子どもがOKな範囲を超えた場合や、あいさつをしない、他人に暴力をふるうなどのルール違反をおかしたときには、ママは子どもを絶対に許さず、怖い顔でビシッと叱るといいます。

子どもを叱ることはなかなか難しく、こうしたら絶対に応えてくれるというものではありません。ただ、ダラダラ叱ると逆効果ということは、多くのママが実感しているはず。フランス人のメリハリのある叱り方は見習いたいところです。

3.どんな料理も一口はトライさせる

食に関しては、1と2で紹介したフランスの子どもは夜泣きをしないにも多くの記述や重なる部分もありますが、ここからは、より食にテーマを絞ったカレン・ル・ビロン著『フランスの子どもはなんでも食べる〜好き嫌いしない、よく食べる子どもが育つ10のルール』から、参考になるポイントをピックアップしていきます。

本書では、カナダ出身の著者が、夫の故郷であるフランスに移り住んで目の当たりにしたフランスの食事情が詳しく語られています。

それによると、フランスでは、「子どもも大人と同じものを食べるべき」というのが基本の考え方。もちろん、小さな子には野菜をピューレにするなど食べやすいよう工夫はしますが、子ども用に特別にフライドポテトやパスタなどを用意することはないのだそうです。

未知の食べ物に戸惑う子どもに対しては、「好きになる必要はない。でも、試してみなければならない」というルールを教えるのだとか。

つまりフランスでは、根気よく大人と同じメニューを食べさせていくことで、子どもたちはたくさんの味を覚え、好き嫌いのない子に育っていくわけです。

日本の家庭でも、「その日メニューとして出たものを、全種類、最低一口ずつ食べる」くらいのルールであれば、取り入れられそう。一口なら子どもにとっても大きな負担はありませんし、ほんのちょっとずつでも多様な味に慣れていけば、自然に食べられるものも増えていくでしょう。

4.おやつは一日1回、ときどきは手作りで

また、本書によると、フランスの子どものグテ(おやつの時間)は一日に1回だけ。多くの日本の子どものように車や電車の中でスナック菓子を与えられることはなく、午後のグテのときには、きちんとテーブルにつくそうです。

一般的なフランス家庭のグテに出るのは、フルーツや手作りのお菓子類、バゲットにジャムやチョコレートを塗ったもの

一日に一度、美味しくて食べごたえのあるおやつをしっかり食べて満足し、余計な間食をしないため、食事の時間にきちんとお腹がすいて食が進む、という好循環になるというのです。

なるほどもっともな話ですが、日本では市販のお菓子の誘惑が多く、友達といっしょにお菓子を食べる場合もあり、これも完全に見習うのは難しいのが現実。

とはいえ、子どもが家にいるときくらいは、できる限り間食を減らして、「おやつは一日1回」を心がけたいですね。

ついでに、週に1、2度は子どもの希望を聞いて手作りのクッキーやケーキを焼くと、おやつの時間が楽しみになり、自然にルールが定着するかもしれません。

以上、フランス式育児を紹介した2冊の本を参考に、日本のママにも実践できそうなポイントを紹介しました。

フランスの文化や習慣を何もかも再現することはできませんが、違いが大きいからこそ、「へえー、フランスではこうやって子育てするんだ!」と感心したり驚いたりしながら読書が楽しめるという面もあります。

今回ご紹介した2冊には、子育て術のほかにも、フランスの食文化の奥深さやフランス女性の生き方など興味深い話題が満載。あわせて読めば、フランスという国がより身近になることうけあいです。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。