東京・明治座『五月花形歌舞伎』の制作発表が3月21日に行われ、出演する歌舞伎俳優の市川染五郎、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助が会見に出席した。
この日の会見は、昼の部で上演する『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』の三幕「玄冶店」縁の地といわれる「玄冶店 濱田家」にて行われ、若手のリーダーとして活躍中の4人が、明治座での歌舞伎公演についてそれぞれ意気込みを語った。
『与話情~』の与三郎と夜の部『将軍江戸を去る』で徳川慶喜を勤める染五郎は「与三郎は三度目です。ぜひ(上演機会の少ない)『赤間別荘』をやりたいと思っておりまして、今回念願が叶うということでほんとうに楽しみにしております。『将軍~』は憧れていた役です。それもなるべく若いうちに勤めたいと思っていました。この5月興行が若手花形歌舞伎として熱い一か月になるように、新しい歌舞伎座の向こうを張って頑張りたいと思います」。
『与話情~』で和泉屋多左衛門と夜の部『将軍~』で高橋伊勢守、『鯉つかみ』で鯉の精を勤める愛之助は「明治座は歌舞伎以外の舞台で何度か出させていただきましたが、歌舞伎で出させていただけて嬉しいです。多左衛門と伊勢守は初役なので、みなさまの足を引っ張らないよう頑張りたい。『鯉つかみ』は今回2回目なのでパワーアップします。宙乗りもありますし、鯉の精がどんな形で飛ぶか、期待していてください」。
昼の部『実盛物語(さねもりものがたり)』で斎藤別当実盛と『与話情~』の鳶頭金五郎、『将軍~』で山岡鉄太郎を勤める勘九郎は「昼の序幕で実盛という大役を勤めさせていただけるのは本当にありがたいです。古典の時代物ですがファンタジーな部分もあったりして、歌舞伎初心者の方でも楽しめる作品だと思います。そして金五郎。これは初役でやらさせていただきますが、華やかに染五郎さんと会場を歩きたいと思います。『将軍~』は若い人たちが国を動かしていた幕末という時に生きた熱い男を演じられたらと思っています」。
『実盛物語』の小万、『与話情~』のお富、夜の部『藤娘』で藤の精を勤める七之助は特にお富についてこう語った。「『見染』の場は自分が世界一美しいと思って出ないと成立しない。初役でやらせていただきたときこんな恐ろしい芝居はないなと。だから何も考えずにやろうと思います。お客様がなんだかわからないけれどいいなと、風情を感じてもらえたら成功だと思います」。
公演は5月3日(金・祝)から27日(月)まで同劇場にて。チケットは3月28日(木)より一般発売開始。