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 スティーブン・スピルバーグ監督が、シェークスピアの『ロミオとジュリオット』をモチーフにした伝説のミュージカルを念願の映画化。社会の分断を乗り越えようとした“禁断の愛”の物語を、数々の名曲とダイナミックなダンスとともに描いたミュージカル・エンターテインメント『ウエスト・サイド・ストーリー』が2月11日から公開される。

 今回、スピルバーグ監督は、約1年の歳月をかけて、キャスティングを実施。主役のマリアとトニーには、3万人のオーディションを勝ち抜いた期待の新星レイチェル・ゼグラーと、数々の話題作に出演しているアンセル・エルゴートを起用した。

 スピルバーグ監督は、映画初出演のゼグラーについて、「オーディションのときからレイチェルの歌声や演技力はずば抜けていた。映画に出演したことがない彼女は、周りの経験豊富な俳優たちから常に学び、同時に、彼女ならではの良さを作品に注ぎ込んでくれた。彼女はマリアを演じるために生まれてきた」とまで言い切った。

 また、「トゥナイト」などの名曲を見事に表現したゼグラーの歌唱力について、「常に成長しようとする向上心あふれる彼女の姿勢が、圧巻のパフォーマンスを可能にした」と語った。

 その言葉通り、ゼグラーは先に行われたゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞した。

 一方、マリアと禁断の恋に落ちるトニーを演じたエルゴートは、『きっと、星のせいじゃない。』(14)で、病で片足を失いながらも、主人公(シャイリーン・ウッドリー)と純粋な恋に落ちる好青年を演じる一方、『ベイビー・ドライバー』(17)では犯罪組織の運び屋としてド派手なカーチェイスを行うなど、硬軟織り交ぜた幅広い演技力に定評がある“カメレオン俳優”だ。

 スピルバーグ監督は「アンセルは、いざカメラに映ると、実際の年齢よりも若く見えることがある。その一方、超ベテラン俳優のような雰囲気を漂わせることもあるなど、さまざまな面を容易に使い分けている。彼はトニーを演じる方法を、最初から自分自身で見いだしていた」と語る。

 エルゴートの確かな演技力は、例えば、ダンスホールでマリアに一目ぼれし、彼女を思って歌う「マリア」で、甘い歌声や表情を見せる一方、激化する対立を説得すべく仲間に向けて歌う「クール」では、力強い歌声でたくましい一面を見せるなど、今回も遺憾なく発揮されている。

 主演の2人についてボーカルコーチのジャニーン・テソリは「2人の本当にすごいところは、あれほど有名な楽曲の数々を、まるで新曲であるかのように歌えること。それをやってのけるのは、本当に難しいことなんだ」と語っている。

 誕生から60年以上も愛され続けた名曲たちを、スピルバーグ監督お墨付きの若手俳優2人が、圧巻のパフォーマンスで新たに表現した本作を、ぜひ劇場で体感してほしい。

(構成/田中雄二)